よりもい4話の感想と考察と妄想

 

 

アニメ「宇宙よりも遠い場所」の4話に関するオタクの個人的な妄想、妄言です。

 

 

 めぐっちゃんの嫉妬

 「無理しすぎないようにな、それ以上頑張ってダメだったらすごい後悔するだろうから」

 めぐっちゃんの嫉妬が分かるんだけど、キマリがいなくなってめぐっちゃんが画面端のシーンではめぐっちゃんの孤独、置いてきぼり感がある。このシーンって個人的に面白いなーって思っていて、最初はめぐっちゃんが左、キマリが中央、モブの後ろ姿が右に映ってるんだけど、モブがいなくなることで右側の不自然な余白が不安定な感じになる。さらにそこからキマリがいなくなることで、ひとりで端っこに残っためぐっちゃんを演出できるわけなんですよ。

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立川駅の使い方

 立川駅北口の明るい駅前から一変して、駅の近くの薄暗い通路にいて(実際に駅の入り口が地上3階くらいにあって、立体階段とか広場もその高さにあるので、立川駅前の地上一階ってこんな感じで薄暗いんですよね)、キマリが「ここ?」日向が「うん…間違いない」と困惑してるから、これから来る車が思ったよりもボロくて華やかでない、ことにこの薄暗い感じを重ねているのかなぁって思ってます。

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4話での珍しいセリフ

 報瀬「学校とは大違いね」キマリ「ふふん、クラス違うでしょー」

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 このやり取り、結構珍しいと感じていて、これまでのイメージは逆だと思うんですよ。キマリが「学校とは別人みたいだね-」って言って「クラス違うでしょ」って報瀬が冷静に言うイメージだったから、びっくりしました。

 不自然なところって(自分がそう思ってるだけですけど)何かあるから不自然になっていると思ってて、ここでは「南極の決め事やルールをここできちんと覚えていって」ってゆうかなえのセリフに対してキマリが元気よく「はーい!」って言ってるのに対して「学校とは大違いね」「ふふん、クラス違うでしょー」が続いてる。

 この「学校とは大違いね」ってセリフは単体では理解しにくいセリフで、「はーい!」「学校とは大違いね」だけだとぼーっと見てると何のことかわからないと思うんだよ。でも「ふふん、クラス違うでしょー」によって、あっ、報瀬がクラスでのキマリの様子を予想して言ったぽいな。→クラスでやるのは...授業か!!→あー、なるほど、報瀬は南極についての勉強と高校での勉強に対する、キマリのやる気の違いを揶揄したんだ。→あー!だから前半に勉強のくだりがあって、キマリが勉強に消極的なことが描写されていたのか!という風に(これは大げさだけど)読み解けると思うんですよ。だからこそ、キマリの冷静な指摘という珍しいセリフが出てきたのかな~、だから4話後半はキマリが学校にいる時には発揮できなかった長所を描いているのかな~と理解ができると思います。

 

画面の中心について

 このコンパスのシーンは全体的に中央を意識して見ていくと、とても面白いシーンで、立てた旗に対して方向を指示する場面が2回あって、どっちも正解は画面の中央に来るようになっていたり。4人を遠くから撮ってるのに、少し右にずれているなって思ったら、歩いて距離を測る報瀬が中央に位置しているからだったり。

 

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元気のない報瀬

 「うるかにしてください」のくだりでキマリは元気のない報瀬を気にかけてると思います。だから日向と結月の方向を向いて「ねぇ、なんか話そうよ!」って言っておいて、会話に報瀬が入ってくるのを待ってたと思うんだよ。上を向きながら喋ることもできるわけだし。会話の最初から報瀬が参加してこないことは分かってたんだけど、思惑通り楽しい感じになったにも関わらず、報瀬からは何の反応もなくて余計に元気ないのが心配になった感じですね。ここで初めて報瀬と吟の関係に踏み込むわけですね。

 ここだけじゃなくて報瀬の変化にキマリが気づいていて、気にかけているのが良いよね~~良い子だよ~キマリ~

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 ここまでの寝袋での会話って体と顔の向きは変えるけれど、体を起こして相手の表情を伺うほど、そこまで大切な事ではなかったわけで、このカットで実はみんないつもと違う報瀬を気にしていた、心配していたのが伝わってきていいですよね。

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 このキマリを止める日向のシーン、必要なんですけど、止められるのを分かっててやってるっぽいなって思っちゃいました。この場面で手を伸ばすってやらないっていうか、体を近づけるとか、そういう行動をとると思うんですよ。体をそのままで左手一本伸ばしてもどうにもできなくないか?って思っちゃいました。

 

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 けれど別の捉え方もあって、キマリが気の利いた言葉をかけたらいいのか、ぎゅっとしたらいいのか、どうしたらいいか分からないけどとりあえず心配だから、何となく手が伸びたってゆう心境で、日向がその迷いを察して止めた。っていう状況だったなら、上手なカットでキャラクターの動きもこれで完璧だと思うんですけど。

 結月の時は話を聞いたうえで抱きついた結果、結月の心に近づけたわけだけど、それは結月が自分の気持ちを素直に話してHELPがキマリに伝わってたからうまく行ったと思うんだよね。でもここでの報瀬って自分の気持ちが分からずにどうしていいのかも分かってないから、キマリがどうこうできる段階じゃないと思うんだよね。結月の場合は友達がいない事、報瀬の場合はお母さんの死の関係、だから問題の大きさが違うでしょ。っていう指摘ももっともなんですけど、例え難しい大きな問題を抱えている人がいても、キマリは助けようとするだろうし(今回は日向が止めたが)、12話では報瀬が「もういいよ」って言ってるけど、報瀬の気持ちに関わっていって、解決する。しかし、今は報瀬の気持ちが整理できるまで見守るのが正しいと思います。日向の判断がナイスだと思います。

 

 

報瀬がいない画

 ここでも中央云々の話をしたいんだけど、この2枚は3人が中央にバランスよくいないという違和感があると思います。ここでは当然報瀬がいない、っていう違和感を強調させていると思います。

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非日常からの眺め

 この明け方のシーンかなり良いですよね。やっぱよりもいはどの回もいい感じに終わるから好きになっちゃいますね~やっぱほとんどの話数で挿入歌で締めるのが効いてるんだと思います。このシーンはやっぱり力を込めてるってゆうか大切にしっかり作られた感が溢れてますよね。

 まず小岩の上にいる吟に対して「あの、何が見えますか?」っていうセリフがかっこいいですね。雲海を見るだけなら1.5m高い岩に登ったくらいじゃあんまり変わらないと思っていて、じゃあ何のため?って考えると、これはキマリと吟がいる日常と非日常っていう場所を示していると考えることができると思います。「あの、何が見えますか?」ってセリフは非日常から見た眺めを意識してるセリフだと感じましたし、それに対して吟が無言で手を伸ばして、キマリの足が地面を蹴るカットがあるのもそのためだと思います。キマリがこれまでいた日常から吟たち観測隊員がいる非日常へのステップアップだと受け取れると思います。この4話自体がキマリの上手く行かない日常と、自分の適性があったりする非日常の対比をテーマにしていることからも合ってるんじゃないかなと考えています。

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朝霧の意味

 キマリと吟の会話のシーンで朝靄が動いてるので「撮影ちゃんとしてるな~すごいな~」って思いました。霧をしっかり描写していることの何が称賛されるべきかっていうと、このシーンで言う霧はキマリの心の中での霧みたいなものでもあるんですよ。だからキマリが自分がどこかじゃなくて、南極に行きたいことが分かった時に朝日が差し込んでモヤが晴れる演出になるわけなので、ここでの朝靄は重要な役割があるわけですね。

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鮮やかなセリフ群

 「報瀬ちゃんのお母さんってどんな人だったんですか?」「どんなと訊かれると、変な人って答えしか出てこないわね」「報瀬ちゃんに似てます?」「さぁ、私は娘のことまではよく知らないから。ただ、あのしつこさと思い込みの強さはそっくりね、めんどくさい」「いいですよね~、めんどくさいの」「南極向きの性格ね、あなたは」

  「めんどくさい」というネガティブワードに対して「いいですよね~、めんどくさいの」って答えられるの、やっぱりキマリのこういうポジティブさが強いなぁと思いました。この他にも3話のオーロラについてや、8話で船酔いした場面でもこういう性格はありますよね。これは実際キマリの本心で、それは吟も同じだと思います。9話で吟と貴子の関係は詳しく書こうと思うけど、強い意志を持った貴子が吟を引っ張っていく感じで、これって報瀬とキマリの関係に近いと思うんですよね。だから吟も貴子とか報瀬の「思い込みの強さ」に魅せられた側だと思うんですよね~

 「南極向きの性格ね」の後には間があって「あなたは」と続くんだけど、「あれ?めんどくさい性格の報瀬や吟じゃなくて、キマリが南極にむいてるの?」って驚きますよね。上の話から考えるに、吟が自分自身(過去の?)とキマリを重ねて見ていて、自分と同じように、南極にむいているって話だと思います。

 

  

 

 「どうして南極に?あの子に誘われた?」「はい、でも決めたのは私です。一緒に行きたいって、このまま高校生活が終わるの嫌だって、ここじゃないどこかに行きたいって。」「でも!日向ちゃんと知り合って、結月ちゃんと知り合って、観測隊の人の気持ちを知って、隊長と報瀬ちゃんの事聞いて思いました。どこかじゃない、南極だって」「私、みんなと南極に行って」

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 かなえとの車内での会話と、冒頭の、同級生に南極をバカにされたシーンがここで効いてきますね。あと、貴子が書いた本であったり、極地研究所であったり、講習や訓練であったり、南極に触れてきて、それらもキマリが南極に行く気持ちにつながっているだろうし。

 

 ここで日が差し込むのがなぁ、すごく大切な要素なんですよ。これによってさっき書いた霧が晴れることになるし、それよりも、綺麗な朝焼けを見るために他の3人を呼ぶことで「私、みんなと南極に行って」の続きを4人で共有しているんですよ。4話のメインである「南極への決意の再確認」をできる限り自然に見せていて、これは面白いアイディアだと思いました。

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 詳しく話すと、もともと4話はキマリに「ここじゃない、南極だって」と言わせることが4話の締めくくりとして必要だったと思います。そして、それを引き出すがこのシーンでの吟の役割だと思うんですよ。というのも、何となく「南極に」行くことが決まっていた4人の内からはでは、なぜ南極に行くのか?って疑問が出てこないと思います。だから、4話で初めてこの4人を外から見て、ルート工作の時にも「残りの3人は何なの?」って疑問に思っていたような4人の関係の外側にいる吟が、「なぜ南極に行くのか?」を尋ねる人として適役ですよね。でも、吟にキマリの気持ちを伝えるのは良いけど、それで4話が終わってしまうと、「じゃあ他の3人の気持ちはどうなんだ」「報瀬のモヤモヤした気持ちは次回に持ち越しか?」ってなっちゃうはず。だから吟に疑問を出してもらって、その答えを4人で確認するという作りにくそうな状況を、この景色によって作り出す。この朝焼けにはそういう目的があると個人的に思っています。そのようにして4人が集まり、キマリの思いを共有することでこの4話は完成されると思います。

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 ただ、キマリが自分の気持ちを吟に話した流れのまま、他の3人に話すって、結構難しいというか、考えづらいシチュエーションだと思います。実際、吟と話している途中で日の出直後すぐにいなくなる吟って、4人のために空気を読んだと思っていますが、少し不自然さもあると思います。

 

「私、みんなと行きたい。みんなと一緒に南極星見つけて、オーロラ見て、かき氷食べて、ペンギンと記念写真撮りたい!絶対行こう!」

 かき氷以外はこれまでに出てきてるんですよね~伏線の伏線までしっかりしてるという。

 

 

4話のメインはキマリ

 報瀬と吟の関係で報瀬が何かありそうなことに、キマリが勘付くシーンで自分は「気遣いができる点では日向の方がイメージあるけどな」って思ったんですよ。しかし、このシーンで報瀬から悩みというか心情を聞き出せるのはキマリだけなんだよね、3話でも書いたけどキマリは相手に心を開かせるのが得意だから。この後も一見厳しそうな吟と自然に話せて、普通に打ち解けていてキマリの強さが出てくるんですよね。こうやってキマリの性格に注目してあげると、4話って前半ではキマリのダメな部分(お母さんに怒られる、勉強が苦手)がでていて、後半では長所やすごいところ(コンパサーや打ち解ける力)が発揮されてるんですよね。4話でのテーマはこの対比だと思っています。こうゆう所をみると、いつもの学校生活では何もできなかったキマリが、学校以外ではこんなにも輝けるっていうのを見ている気もしますよね。「学校とは大違いね」「ふふん、クラス違うでしょー」の話はさっき書きましたが、それとも関連してますよね。やっぱり、キマリが一歩を踏み出せてよかったな...と思いますよね。

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5話に続く  

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