よりもい9話の感想と考察と妄想

 

 

アニメ「宇宙よりも遠い場所」の9話に関するオタクの個人的な妄想、妄言です。

 

 

・日向が結月に「そんなの着ているからだろぉー」って言うのは結月が寒いのに弱い設定だからだけど、8話の艦上体育の時も、キマリと結月はダウン着てるし報瀬はネックウォーマーしてる9話でも半袖短パンの日向は、寒さに強い設定か?

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花を運ぶ吟

 吟が花を持っている。それに対して日向が「誕生日?」って疑問を持ったのはバースデーケーキに見えたからかな。それに対して結月が「えっ?」って言っている。そのことにキマリは気づいている。

 ここ、面白いですね。本来であれば、貴子に手向けるための花の伏線だと思うんですけど、それを日向にケーキだと誤認識させて、そこから結月が自分の誕生日を気にしている事を示唆する。さらに、それをキマリは察知することができてケーキを用意する計画に繋がる、というね。ただ、ここで報瀬はこの表情なんです。多分報瀬は貴子のための花だって、考えているんじゃないですかね~だからここはアニメの演出としてかなり興味深いと思いました。同じものに対してそれぞれ考えていることが違うという。

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雲みたいな人

「雲みたいな人」「雲ってすごいよね。掴めないのに、上見るといつもそこにある」

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 吟が雲について言及しているのは貴子が生きているときなので、いつも一緒に南極を目指しているんだけど、自分の手が届かない高い所にいる気がするくらい貴子の思いが強い。でも、目指す場所は同じで、常に自分を引っ張ってくれてる。みたいに感じました。

 一方、亡くなった後の貴子の事だと考えると、貴子はもういなくて、触れることもできない。なのに亡くなってもなお、自分の進むべき方向にいて、自分の前に立って引っ張っている的なまた違うニュアンスになってくる。と考えてます。

 

縄跳びの話

「だってあの子には吟ちゃんの魂が必要だから」

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 そのあとに縄跳びが上手くできずに、心折れそうになっている幼少期の報瀬に対して「できないの?」って吟が尋ねて、幼少時代の報瀬は素直に「はい」って答えている。できないことをこんなにあっさり認める、できないことを受け入れている報瀬って、現在の報瀬からはイメージが離れていると思います。そのあとに吟は初期の南極観測隊の話をして、諦めない事の大切さを説いたんだと思います。その結果、報瀬は縄跳びができるようになっている。報瀬に足りていないものが「諦めなさ」であり、それを過去に吟が補っていると言えると思います。

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報瀬と吟の会話

 回想での報瀬「でも行くんでしょ?」に対して貴子「うん」って答えているのが、貴子がなんで南極に行くのかという疑問の原点だと思います。それに対して13話で、答えを出す。いや~、しっかりしすぎているよ。吟と報瀬の関係を明かしながら、最終回の伏線張ってるじゃん。

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 「どう思っているか聞いておこうと思って。私の事」「憎んでる、って言って欲しいんですか?」

 吟は報瀬が自分に対して少なからず、恨んでいる部分があると思っていた。報瀬は、吟がそう考えていることまで、感じていた。この返しはそこまでの考えを持ってないと、すっと出てこないと思う。

 

 

 「落ち度があったんですか」「じゃあそれでいいじゃないですか」

  論理的に考えた場合。多分、このやり取りって報瀬は母の死を納得しようとするために、何度も何度も頭の中で考えている話だと思うんですよね。勝手に想像しているだけですけど。「お母さんは危険であることを承知で南極に行った」→「誰かの過失だったのか」→「そうでないなら、不運な事故だ」と報瀬は自分を納得させている。これは報瀬の頭では確立されている認識だと思う。報瀬は悪くないお母さんの同僚を恨むことはできない、大人として振舞ってる。

 ただこれは以前と同様、客観的に、論理的に正しいことを考えているだけ。子供から大人への成長に伴って、自分を客観視できるようになる。ただ、高校生の頃ってまだ客観的に見ているだけじゃどうにも対処できない大きな感情があって。それは自分自身が向き合わなければいけない。だからね~アニメの主人公って高校生くらいの年代が多いんじゃないかなって思うよね。そういう頃の感情って中学生ほど単純ではなくて、大人ほど静かでないと思います。

 

 

 「分かりません」「だから話すのが嫌だったんです!どう思っているかなんて全然分からない」

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 今の報瀬の気持ちとして、答えを出すなら「貴子の死を受け入れられない。というか、亡くなった前後で自分は何も変わっていない」この部分、まじで、こうなるよな...と想像しました。観測隊員であるお母さんの死と向き合う娘、っていう実際には考えるのが難しい、共感する人は少ないであろうキャラクターの気持ちの読み方、がなんでこんなに完璧にできているのか、不思議に思います。この気持をアニメ化したのもすごいなと思いました。

 だから、そこまでして南極に行く理由を報瀬はずっと探していたんだと思う。1話の「結局みつからなくて、遺品もほとんど無いままで。だから私が行って見つけるの」2話の「だって、お母さんが待ってる」7話の「強いて言えばそらを見るためかな」を回想=強い印象、宝箱を目的と言っている。1話と2話のセリフは死の実感が無いからだったんですね。あと、どれも正しいようで、1つ定まった理由はなかった。だから、それぞれの場面にあった考えを話していたっていうか、そうやって、自分の気持ちを思考から手探りしていくしかなかった。と思う。

 

 

 「変えるには行くしかないんです。お母さんがいる、宇宙よりも遠い場所に」

 結局、なんでお母さんが死んだ南極に行くのか、行って、何するのかなんて分からない。ただ何か変わるのかも、っていう僅かな光しか見えない。でも「なんか変わるのかも」って理由では南極に行かせてもらえない。だから色んな理由をそれぞれの状況で言ってたって側面はあるんじゃないか?って思います。分かりませんが...

 

 

それぞれの「諦めなさ」

 

「何度も何度も何度も。諦めかけては踏ん張って進んだの」

 しらせが何度でもチャレンジし続ける姿勢は、最初の観測隊の姿勢でもあり、現在の観測隊の姿勢でもあり、それは吟から報瀬に受け継がれた「諦めなさ」という事でもある。

 

貴子の失踪

 このカットが好きで。窓の外、水平より少し上から撮影していて、窓からカメラが引いていくことで、貴子から吟が離れていく感じを出している。それに加えて、吟がカメラに目線を向けることで、「綺麗だよ」って言っていたのが、南極の星空なんだという事が分かる。カメラアングルが完璧すぎない?このカットは。

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 これさー、星空が綺麗である描写って、この少し前にブリザードが終わって捜索ができるようになったよっていう比較として使われているだけなんだよね。だから、普通だったら窓の外を見る吟からカメラが引いた後に満点な星空入れるよね。そこをな~、「角度で分かるだろ」って感じで言われちゃうと、信頼感?みたいに感じてオタクはすーぐ嬉しくなっちゃう、好きになっちゃう。これだからオタクはちょろいよ~

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沈まなくなる太陽

 沈まなくなる太陽を見ながら、静かに泣いている吟。貴子の事を思い出していると思います。さらに、少し前の「雲みたいな人」で夕日を見ている部分と合わせて考えると、沈まない太陽が貴子を示している可能性は考えられると思います。10話では吟とかなえが太陽に向かって、「メリークリスマス」「ただいま」と言っている場面もあるし。さらに、12話のラストシーンで報瀬が貴子の事を乗り越えた時に、太陽が沈んで夜になる演出にも辻褄が合いますよね。

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「ざまあみろ!」

 報瀬の原動力の大部分はこれで、他人から無理って言われるほど行きたいと思うポジティブな天邪鬼だと思う。この気持って他の3人も観測隊も見返してやりたいっていう気持ちをどこか持っていて、だから「ざまあみろ!」は1つの叫びにまとまったわけで。ここで南極行く理由が定まっていなくて、シーンによってまちまちな報瀬がなんでここまでこれたかの答えがこの気持ですよね。ただし、南極に着いてしまえば敵は誰もいないので、貴子と真正面から向き合わなければいけないわけですよね。

 

 

10話に続く 

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