よりもい10話の感想と考察と妄想

 

 

アニメ「宇宙よりも遠い場所」の4話に関するオタクの個人的な妄想、妄言です。

 

 

・初っ端から面白い映像だと思いました。前回南極に降り立って、目標達成を喜んでエンディングを迎えたわけで。それにつづく10話は当然南極に降り立って南極生活スタート!かと見せかけて、実はまだ船の上でした~~~こっからはヘリで昭和基地に向かいます~~~って言っている映像ですね。このヘリを入れたので少し違和感のある画とかすごくいいよね。

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・なんか、ここの報瀬いつもより美しさ度、可愛さ度が高くない??いつもより耳が小さめかなぁ...いいよ~

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友達関係、青春アニメ

 「こんな風に一緒にいられなくなっちゃうんですよ」「ドラマが無くてもそれぞれ生活バラバラだしな」

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 ここではまだ、結月は普通の高校生的な友人関係に憧れているというか、それが友達である必要条件だと思っているわけですよね。それはやっぱり友達がいなかったからだと思う。ずっと一緒にいられる友達なんていないわけで、それって様々な人と関わっていく中で分かるわけで。そうなると結月はその部分を経験していないから、友達ってずっとくっついているものだと思っている。

 いやでも、その気持ちは分かるよね。これまで友達がいなくてやっと素敵な仲間ができたら、できるだけ長い時間一緒にいたいと思うじゃん。普通のアニメだとそうだと思いますし。「この時間がずっと続けばいいのに」って方が青春アニメとしては王道というか、正しいといっても過言ではないと思う。この時の結月の気持ちもこっち寄りだといえる。しかし、よりもい全体ではそうではない。もちろんこの時間は大切なんだけど、それでもこの旅に終わりが来ることを平然と受け入れている。13話で帰国した後では4人ともが前を向いているわけですよ、振り返らずに。「いまが最高」ではないのよ。これって結局よりもいの物語が「よりもいはキマリたちも大人たちも、どこか負け犬で、それをリベンジする話でもあるので」って部分が大きな要因であると思います。「いまが最高」の青春アニメは一般的に上に凸な放物線の頂点をカメラで覗いて撮影していて、そういうアニメが面白くないわけではなく、最高潮の部分をアニメにしたら当然面白いと思う。さらに言えば、よくよくその拡大図を見てみればその頂点を描く線も、波を描いていたりして、常に素晴らしい青春ではないはずだから、見ごたえもあるはずだし。しかしよりもいは下に凸な放物線なのよ。最小値でくすぶっていた4人がスタートして、右肩上がりに進んでいく物語。だから、ここが終わりではない。これから4人それぞれが大人になっていく部分も上昇の過程。これってちゃんと最小値をとる頂点をプロットしてあるから、進みだした軌跡がどこまでも上に伸びる曲線を描くって分かる。その途中には色んな困難があって、完璧な線を描けないかもしれないけれども。

 だから最高で、だから感動する。だから13話で前を向いている4人に号泣してしまう。これから上を向いて進んでいくことが分かってしまうから。13話終わりで4人の未来を視聴者に見せることができている。よりもいのこの部分が、ほんとにすごいと思っているし、心にくる理由だと個人的に感じています。

 

親友問題

 結月の「親友なんですか?」から始まる親友の定義問題について、結月がここまでこだわるのって、結月が言葉や形が欲しい派だからだと思っています。3話で寝る前に結月がキマリにぎゅっとされたことを回想していて、強い印象に残ってることが分かるんですが、こういう部分でも結月が相手の気持ちを汲み取るとかよりも、形あるもので伝えて欲しい派なんじゃないかなぁと感じました。だから「なんとなく親友になった」では不安な気持ちになるというか。

 

 

ケーキの飾りの意味

 サンタの砂糖菓子とチョコプレートが意図的に描かれているのはあると思うんですが、食べる前の画を見ているのは結月で、切られた後に残っている画に視線を移したのが報瀬なんです。こういうサンタの砂糖菓子やチョコプレートって、ケーキの中央にあるから注目を集めているわけで、ケーキにおける花形だと、ぱっと見て思うんですよ。それを結月は眺めて羨ましく感じているわけですよ。けれど実際は、このデコレーションって見かけ上のもので、誰も食べずに余ってしまう、残ってしまうただのお飾り。そう感じているのが報瀬なんですよ。形式的に祝ったとしても、意味はない的な。サンタも1枚目では上を向いているけど、2枚目ではうつむいちゃってるし。

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 つまり、結月は形だけのものであってもそれに対して強い憧れと希望があって、それは、幼稚園のとき、小学生の頃、中学生時代においてずっと「友達」が概念や言葉でしかなかった為だと考えられますよね。一方で、報瀬そういう形式的な友情は無意味だと考えている。「前にも何人かそういう事言ってくれた人がいた。でもみんなすぐいなくなるの」らへんの部分がそういう考え方を形成した理由だと考えられますよね。

 だから、結局報瀬の考えでは、方法では結月は救えない。報瀬は6話の事があって自分の気持ちを結月に伝えることは、ちゃんとやってるんだよね。日向は気を遣われたくないって言ったから。けれど、結月に対してはそれは届かない。結月と一緒にケーキの準備をして、気持ちを聞いたけれども、報瀬には救うことができない。一方で、結月とは別々の場所にいるキマリは着々と準備を進めて「解凍」をしている。恐らく、この後に出てくるチョコプレートに手書きで結月の名前を書いたのも、キマリだろうし。だから今回結月の助けになれたのはキマリ。でも説得を試みた報瀬の失敗ですらも、11話への伏線にしてしまうという話の流れは、強いし、すごい。

 

結月とキマリ

 友達誓約書に対して報瀬が「こんなの意味ない」って自分の経験をもとにして、自分の考えをもとにして伝えるのは分かるんだけど、本当に友達が分かっていない結月には、キマリが示したように「泣く」「抱きしめる」っていう感情表現の仕方が一番理解できる。ここでキマリが泣きだしてしまうのって、3話で抱きしめたくなったのと同様に、コミュニケーションの仕方が直接的というか、子供っぽいから。キマリの精神的幼さって1話のタイトルアバンで突然感情が溢れてしまったり、髪を自分で切っていたり、寝相と寝言が酷かったり、で表されてきていて。そういうネガティブな側面もあるけど、今回はそういう感情表現の仕方が結月に伝わりやすくて、解決に繋がった。と感じています。

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結月と報瀬

 「ちゃんと話せる自信ない」「じゃあほっとくか?」「そうとは言ってない」

 ここら辺がね~まーじ報瀬の良さ、あるんだよね~報瀬は思った事を躊躇わず言葉にするタイプの人間じゃないですか。最初の頃って、自分の気持ちをそのまま口に出していたんですが(1話での「無理だって言った全員にざまあみろって言ってやる」「そしたら本気だって信じる」)、その報瀬が他人への気配りが上手な日向と出会って、他人の事を考えるようになって。3話で結月を気にかけて結果的に、少し結月に近づけて、6話で日向に気を遣ったら、逆効果になってしまい、結局は自分の本心をぶつけることで解決をした。この10話では結月の気持ちを理解しきらずに上手くいかない。はっきりいえば、ほとんどうまく行ってないと思います、報瀬の気遣い。欠点を隠そうとした行為がさらにうまく行かず、結局欠点を長所として用いて解決するって感じなんですよ。報瀬が気遣っているときって大抵言動に勢いがなくて、日向に論破されてしまったりだとか(6話)、途中で言うべきことが見つからず日向にパスしたりだとか(10話)、っていう結果になっている。それに対して自分が思っている事を話す報瀬はどこまでも強く、まっすぐなんですよ。それでも、こういう風に報瀬なりに試行錯誤しながら、仲間の気持ちに寄り添っていこうとしているのが感じられて良い。最高。

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 「多分、形も言葉も何もない」という報瀬のスタンス

 「友達なんて、親子とも夫婦とも違う、ぼんやりしたものだし、いつ消えても誰も責任を負ったりしない」「少なくとも私はそう。でも、だから自由で、だから一緒にいられる気がする」のあとに吟とかなえが貴子に対して「ただいま」って言うのずるいなぁ!

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 当然「少なくとも私はそう。でも、だから自由で、だから一緒にいられる気がする」の部分では吟たちの関係を思い浮かべて、結月に言ってるわけですよ。古くからの友人であり、仲間であった貴子がいなくなって3年経ってもなお、吟は貴子と共にある。そんな大人を見て、報瀬はこの考えを持っているわけで。かっけーアニメだなぁ。

 

 

・結月が友達関係で悩んでいるのがラインで表現されていた3話、結月がラインで感じている距離感と既読スルー、キマリがメグっちゃんに感じている距離感と既読スルーは異なるわけですよね。現代のコミュニケーションの取り方を題材にしていて、新しさがあると感じました。

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11話に続く 

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