よりもい6話の感想と考察と妄想

 

 

アニメ「宇宙よりも遠い場所」の6話に関するオタクの個人的な妄想、妄言です。

 

 

キマリの謎の夢

 キマリの、自分が飛行機になる夢の話って謎じゃないですか?キマリの不思議なキャラ付けだと言えば、そう考えられると思うんですが、もっと意味があるんじゃないかなと思って、こじつけ気味に考えました。

f:id:taji488:20190818013820p:plain

©YORIMOI PARTNERS

 1話の初っ端の「淀んだ水が溜まっている。それが一気に流れていくのが好きだった。決壊し、解放され、走り出す。淀みの中で蓄えた力が爆発して、すべてが動き出す」のシーンで「飛行機=日常からの解放、自由」のイメージの話をしました。

 

自由の象徴としての飛行機 このシーンでもう一つ注目すべきは、飛行機です。この場面のみだと「飛行機=日常からの解放、自由」という意味を持った描写だという断言は難しいと思います。 ©YORIMOI PARTNERS しかし、1話EDでは現実で飛行機が飛んでいる描写があり、「旅に出た自由さ」が表現されているわけなんですよね。 ©YORIMOI PARTNERS

よりもい1話の感想・考察・妄想 - @taji488 のtwitterの延長です。

 

 6話のこのシーンにおいてキマリが「私ね、よく夢で見るの。私が飛行機で」と言い、空に飛び立つという描写は、キマリの旅立ちへの憧れが飛行機のイメージであることが分かり、無意識下でそのイメージをキマリが頻繁に夢見ていることから、旅立ちへの憧れが窺えます。1話の飛行機のイメージを6話のこのシーンが補強している構造だと捉えられるかと思います。

 さらに詭弁を続けると、6話の飛行機の夢だけだと、その夢が単なる「寝ているときの夢」である可能性も否定できないと思います。しかし、1話の方のシーンは回想ではなく「寝ているときの夢」として「淀んだ水の決壊」が描かれていて、それにより、それが「願望という意味の夢」であると分かります。つまり、キマリの「寝ているときの夢」が「願望という意味の夢」に重なるという事実を作っていると言えます。そのため、「飛行機の夢」はキマリの「願望という意味の夢」に重なるといえるわけです。今度は逆に、1話が6話の補強になっています。

 この構造、個人的な妄想っぽいですけど。もし仮に、夢の中でキマリの願望とともに描かれた飛行機と、6話現実において「よく夢で見る」というセリフが、互いに互いを意味のあるものにしていたらとても興奮しますよね。6話の方がなかったら、飛行機の意味は弱くなっているし、1話の方がなければキマリの飛行機の夢は「寝ているときの夢」でしかないわけです。

f:id:taji488:20190818014554p:plain

©YORIMOI PARTNERS

 

機内にて

 このシーン、周りの雑音入れた方が良くないですか?周り静かなのに4人だけめっちゃ騒いでる感じだから、他の客が全然いないのかな~?って思ったら、結構人多くて違和感を感じちゃいました。

f:id:taji488:20190818014735p:plain

©YORIMOI PARTNERS

 報瀬が「落ち着かない~」って言った後に少し間が開いてキマリが「でも、まさか報瀬ちゃんも飛行機初めてなんて思わなかったよ」って話しかけているの、報瀬を気遣ったキマリのお姉ちゃんムーブっぽくて素敵ですね。

 

 

部屋決め

 キマリの寝相が悪いのは設定としてこれまでにもあって、これってキマリの子供っぽさを表す部分で、ここではそれに加えてキマリの横を決めるじゃんけんをすることによって、報瀬と日向が同じ部屋になるように話の展開をセッティングしているわけですね。上手いよね。

f:id:taji488:20190818015001p:plain

©YORIMOI PARTNERS

 

 

・「オーウ!ムカーシ、ニホーンニ、スンデーター、ナツカシーネー!!」は最高。

f:id:taji488:20190818015130p:plain

©YORIMOI PARTNERS

 

日向と報瀬

 報瀬が到着日の変更に難色を示してから、日向の表情を長い間、写していないんですよね。その報瀬の不安に対して日向は考えた末に、3人で先に行くように伝える。ここでやっと分かる日向の表情には、不安げな様子とか、寂しそうな表情は無くて、いつも通りの顔。ただ振り返り際に一瞬、悲しそうな表情なのがなぁ。多分これ、意図的に描いていると思うんですけど、そうだったら細かくて良い演出だと思います。

f:id:taji488:20190818020231p:plain

©YORIMOI PARTNERS

f:id:taji488:20190818020105p:plain

©YORIMOI PARTNERS

f:id:taji488:20190818020108p:plain

©YORIMOI PARTNERS

 

 日向の散らかった荷物が、報瀬と話すときには片付いています。これはパスポートをなくして冷静さを欠いていた日向が、いったん落ち着いて頭の中を整理し終えて、報瀬に3人で行くように言った、という日向の内面の変化を表現しているのではないかな、と思います。

f:id:taji488:20190818020325p:plain

f:id:taji488:20190818020327p:plain

©YORIMOI PARTNERS

 

 「お風呂入りたいんですけどー、いいかな?」って全然平気そうな笑顔の日向もいいですよね。ここで敬語になっているのが距離をとっている感じなんですよね~。一方で報瀬の表情は寂しそう。このシーンだけだったら、報瀬は全然悪くないっていうか、歩み寄ろうとしているわけだから、悲しくなっちゃうっていうか、いつもと違う日向に困惑しているっていう感じも含まれている表情だと思います。いいね~!

f:id:taji488:20190818021408p:plain

f:id:taji488:20190818021410p:plain

©YORIMOI PARTNERS

 

 

 日向のへそチラ。残るはキマリ1人のみ…

f:id:taji488:20190818021550p:plain

©YORIMOI PARTNERS

 

 ここら辺の日向って振り向いている画が多いと思います。これは日向が報瀬の気遣いに応じず、背を向けているのにもかかわらず、自分は報瀬に気を遣っているからだと思うんです。背中を向けつつ自分は振り返るってそういうことだと、自分は感じています。

f:id:taji488:20190818021408p:plain

©YORIMOI PARTNERS

f:id:taji488:20190818022635p:plain

©YORIMOI PARTNERS

f:id:taji488:20190818022323p:plain

©YORIMOI PARTNERS

 

 しっかり者の日向が寝過ごしちゃったの、報瀬とのことを悩んでいたら、寝れなくなっちゃったから。とかだったら良いなという、キモ=オタクの願望です。


報瀬と日向の関係性

 ここの報瀬と日向の話って、自分中心で考えがちだったけど友達の事も考えるようになった報瀬と、報瀬が本来の性格を抑えて自分を気遣ってくれているのが、申し訳ないというか、受け入れられない日向の交差、っていう風にまとめられるんだけど、報瀬と日向の関係性大好きオタクなのでかなり長く話させてもらうと、

 報瀬と日向の性格的な共通点ってひとりぼっちであると思うんだよね。報瀬は我が強すぎて、周囲に馴染めずにいたわけだし、日向は他人に疎まれることを嫌って、自分の気持ちを隠して、弱みや本心を見せられないひとりぼっちだといえる。だから他人に気を遣われるっていうのが、自分が迷惑をかけて、はぶかれるんじゃないのかっていう不安になっていると考える。だから日向のスタンスとしては明るく気丈に振舞って、周囲の空気に合わせて、って感じなんだと思う。

 じゃあ、2人の性格における違いは?っていうと、報瀬が不器用で、日向は器用、というと分かりやすいと思う。報瀬が南極に行くって言ったときに、周囲は止めようとしたわけで。1話でもキマリの「南極に行けるの?」に対して報瀬は「みんなそう言う。ばあちゃんも、友達も、先生も、先輩も、近所の人も子供が行けると思っているのかって、いくらかかると思ってるんだって」って言っている。当然本気に思っていない周囲の人もいると思うんだけど、中には報瀬を心配して止めた人もいると思うんだよ。おばあちゃんとかは特にね。5話最後の出発の時に、仏壇に手を合わせるおばあちゃんの後ろ姿は、孫の安全を願う、その一心だったと思います。また、メグっちゃんじゃないけど、あまり現実的じゃない夢に向かって頑張って、それが叶わなかった時の落胆を考えて本心で心配していた人もいたかもしれないし。そうゆう人たちが言った「無理だ」に対して「ざまあみろ」って言ってやるっていう気持ちが報瀬をここまで動かして、南極に行ったわけだから、それは報瀬の長所であることには間違いないけれど、心配してくれていると受け取ることもできたのではないかなと。その点で報瀬は器用ではないと思っています。

 一方で、日向は器用な子だと思います。多分、陸上部で1年(?)レギュラーを取れたのも、物事への順応性とかに少なからず起因しているのでは?と考えています。優秀だからこそレギュラーになれてしまった日向は勉強面でも優秀で、人間関係でも2話で初対面のキマリや報瀬と、明るい感じで接してすぐに仲良くなっていると思います。キマリの性格の際にも少し書いたんですけど、キマリは他人と打ち解けるのが早く(物語の進行スピードに関わってくる)、これって天性のものなんじゃないかなと思うんですけど、日向の場合は意図的に明るくふるまって、他人と関わる、他人に疎まれないようにする、という意識があるんじゃないかなと個人的には感じています。これは「空気読め」と言われた陸上部でのいじめを引きずっているからだと思ってて、自分を守り手段であり、バリアを張っている感じだと思います。じゃあこれまでの日向と他の3人との会話は全部嘘で成り立っていたのか、と言われるとうーん、そういうわけではないと思うけど...元から元気溢れる感じだった部分も当然あると思うし。

 それで、この二人が出会って、まず最初の関わり方は3話で日向が結月が南極に行きたくない理由を聞くのが先って意見に対して、自分が南極に行くことだけを考えていた報瀬は自己嫌悪を感じる。日向の周囲への気遣いが自分に足りないものだと、報瀬は感じる。でも日向が言っているように、それは思いの強さがあるからこそで。

f:id:taji488:20190818021309p:plain

©YORIMOI PARTNERS

 そして今回のこのシーンに戻ってくるけど、ここでも形としては3話とほとんど同じだと思います。報瀬の南極への思いが強いから、周りが見れなくてこのような状況になっている。いつも(3話のような場合)であれば、報瀬の猪突猛進な部分を冷静にたしなめるのは、日向の役割なんですよ。だから、6話のこのシーンって、「3話のように報瀬の足りないところを日向が補ってくれたら、万事解決だけど...もし日向がたしなめることができない立場(パスポート無くしたのは日向)だったら、報瀬ちゃん、あなたはどうするの!?」っていう課題を突き付けられたってことだと思うんだよ!いや、面白くないですか?パスポートを無くしたのが日向じゃなければ、不安になった報瀬は日向になだめられて(3話や、5話で噂に対して怒った時のように)、平和に終わっていたと思います。それは上で書いたように報瀬と日向が真逆のような性格で、互いに補い合えるから。でも常に補い合うだけじゃなく、自分の足りない部分は反省して変えていくので、その場合には今回のように日向がフォローできない状況になければいけないと思います。実際に今回の報瀬は自分の行動を省みて、日向に謝ろうとしているわけだし、報瀬自身での成長がみられると思います。

f:id:taji488:20190818020955p:plain

©YORIMOI PARTNERS

 事の発端が日向がパスポートを紛失したことである以上、日向が悪くて、みんなに迷惑をかけたくないっていう日向の主張は道理にかなっていて、報瀬は反論できないんですよ。こういう日向の言論の正しさは5話のときに、悪い噂に激怒する報瀬を落ち着かせる時にも見られていることだよね。報瀬は3話の時に比べて成長していて、自分の気持ちを優先させていることに気づいたよね。だからこそ日向の気持ちを考えてなかったと思って謝るわけだけど、言葉のやり取りって結局は日向の土俵であるわけだから、気を遣うことにおいて初心者である報瀬とこれまでも周囲に気を配ってきた日向では報瀬に勝ち目はなく、逆に日向に気を遣われて、謝られて手も足も出なくなっちゃうわけで。「そうゆう話だろ」で黙り込んじゃった報瀬に対して、少しあきれた感じでため息を吐く。恐らく、日向としては少しいつもの自分じゃない感じに言ってしまった、と考えていると思います。そのあと、少し表情が柔らかくなるし。結局ここでは、報瀬は日向の事を考えすぎていて(?)、それがいつも通りじゃなくて、日向には気遣いに思えるから、報瀬が近づいて行っても距離が縮まらないんだと思う。

f:id:taji488:20190818020844p:plain

©YORIMOI PARTNERS

 この寝る前のシーンの時点では、報瀬はまだ日向に寄り添うという形でどうにかしようとしている。これってやっぱり、報瀬が自分の短所が他人の事を考えられないことで、それを分かっているからこそ、どういえばいいのだろうっていう方向に迷走してしまっているのでは?と感じています。あとやっぱり、3話で日向に「思いの強さとわがままは紙一重である」って優しく言ってもらえて、それを意識したうえで、今度は自分が優しくしたいって考えてると思う。だから、気を遣うことに固執している。と、私は思っている。

 ただこれって報瀬からしたら、納得いかないよな~とも思う。だって、自分に優しく接してくれたから、自分も気を使ったら、距離をとられるって。なんなら今の時点でも、まだ、日向は報瀬に謝ったり、報瀬の事を気遣っているわけですよね。この時点では報瀬は陸上部の話を詳しく聞いてないから、なおさら納得できないよね。だからふて寝(?)するという行動は正しく思える。しかも、一見日向の話は筋が通ってるから、寝るしかないんだよな。

 

報瀬なりの解決方法

 1週目でもグッとくるシーンなんだけど、12話で報瀬が内陸へ行くか迷ったときに100万を出して、これまでの努力を、絶対に南極に行くって気持ちを再確認するシーンを見た後だと、100万に重みが感じられて、さらに良いよね。それをあそこで、ポンと出せるのがかっこいい。

f:id:taji488:20190818023035p:plain

©YORIMOI PARTNERS

 結局、「3話のように報瀬の足りないところを日向が補ってくれたら、万事解決だけど...もし日向がたしなめることができない立場(パスポート無くしたのは日向)だったら、報瀬ちゃん、あなたはどうするの!?」っていう課題に対しての答えは報瀬の気持ちをぶつける、ってことでしたね。いいなぁ、このシーン...報瀬は長所を生かすべきなんですよ。「4人で行くの!この4人で!それが最優先だから!!」ってセリフがなぁ~、良いよね、熱くて。

f:id:taji488:20190818023007p:plain

©YORIMOI PARTNERS

 このさー、「4人で行くの!この4人で!それが最優先だから!!」っていうのはさ、4話ラストで少し元気なかった報瀬に、キマリが「私みんなと行きたい!」「絶対行こう!!」って言ってくれたのが効いてると思うんだよね~。愛の循環、みたいなものが感じられる。

 

 日向は「居心地悪くなるっていうか。本心が分からなくなるっていうか。だから、高校も無理―ってなって、なるべく一人でいようと思って」って言っています。しかし、キマリと報瀬は他の人とは少し違う、嘘ついてない感じがあったからこそ一緒に南極に行きたいと思えたわけですよね。ここで2話のキマリと日向の帰り道のシーンに繋がってくるわけですよ。それで、「この人たちとなら!」って思えて、南極に行けることになって、それでもなお、相手の本心が分からなくなるのが怖くて、相手が優しさから気遣っててくれても、自分はそれを受け入れられなくて。陸上部の事をまだ引きずってるわけです...日向の話はあまりにも辛い話だと思います。「だから気にしないでいい。全部私の問題だから」とまで日向は言っちゃっているんですよ。そんな日向に対して、不器用で、口下手だけど、本心で、自分で思っていることを伝えてくれる報瀬の存在は、どんなものかって想像しただけで泣いてしまう。最高

f:id:taji488:20190818023303p:plain

©YORIMOI PARTNERS

 

1話完結型のオチ

 報瀬のかっこ良さとポンコツさのギャップやばいね。ハマる。ストーリー的にも日向に負い目が残らないためにも、パスポートが見つかるのは必須ですよね。

f:id:taji488:20190818023420p:plain

©YORIMOI PARTNERS

 ここで結月の「何か隠してますよね?」とドリアンが再び来るんだもんな~、1話の中での構成がちゃんと考えられてて高評価ですよね。

f:id:taji488:20190818023513p:plain

©YORIMOI PARTNERS

 この日向の「まじかー」の言い方大好き。結月の「感謝しろです」の言い方大好き。キマリの「どれだけ心配したと思っているの」の棒読み感も大好き。

f:id:taji488:20190818023551p:plain

©YORIMOI PARTNERS

 

6話まとめ

 シリアスが重めの回なのに、終わり方が綺麗すぎる、最高!ここがよりもいのすごいところで...報瀬が気持ちを伝えて、涙が出るような雰囲気にしておいて、そこからコミカルにひっくり返していくんですよ。実際に6話ではシリアスまたは感動的な割合の方が少ないと思っていて。それでもこれまでにキャラクターについての伏線を十分に張ってきているから、キャラの感情が理解しやすく、感情移入しやすく、泣いてしまうと思うんですよね。これがよりもいの長所ですよね~。一番最初に書いた「笑いながら泣けるアニメ」っていうのは、そのうちの50%は、こういう意図があって言っています。

 あと6話は、4人で旅をするっていう楽しいポイントがたくさん詰め込まれていて、4人のキャラクターの個性や魅力っていうのも存分に出していて、かなり良かった。視聴者である自分も一緒に同行しているような、引き込まれる感覚があった。旅アニメとしてのポイントもしっかりと抑えていると思います。

 

 

7話に続く 

taji488.hatenablog.com