よりもい5話の感想と考察と妄想

 

 

アニメ「宇宙よりも遠い場所」の5話に関するオタクの個人的な妄想、妄言です。

 

 

幼少期の回想

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 キマリの幼少期の声はあまり変わらないんですけど、めぐっちゃんの声は今と全然違って幼いですよね。金元寿子さんは個人的にはガルパンのカチューシャのイメージが強いので「あぁ、この声この声」と思ったんですが、めぐっちゃんとキマリを比較すると声の部分でも、キマリの声は幼少期のそのままに近い、幼さが残っているのが表現されているのかなぁと思いました。

 

 「お姉ちゃんになったような気がした」「明日、遊んでもいよ?」いいですね~このセリフ。自分が面倒を見てあげている、自分が管理してあげる、的な上から目線が伝わりますよね。先生の「偉いね、メグミちゃん」っていうのもいいんだよね。悪いことをしているわけではなく、自然に自分の立場が上だと思っていくわけで。

 

  

・このシーンって普通のアニメみたいなカットじゃなくて、カメラワークで砕氷艦とリポーターを連続して映して、日向が撮影している映像っぽくしてるんですよね。日向の撮影技術、素人にしてはかなり良さげじゃないですか?こういう部分でも日向の器用さが表現されているの、とても細かいと思います。

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4話から5話への時間経過

 5話全体の流れの話なんですけど、5話って日本編最後の話でメグちゃんとの話がメインだと思います。4話は夏休み前の話で5話冒頭では先生が「来月より南極に行くことになった」と言っているので11月頃になっているんですよね。大きな時間の隔たりがあるところを一気にスキップしたので、視聴者を引っ張る意味もあって冒頭のシーンでめぐっちゃんの回想から始まっていると思います。ここは難しい部分だと思っていて、「女子高生、南極に行く」っていう大プロジェクトだから準備に時間がかかるのは当然で、半年以上前の夏休み前からストーリーが始まってなくちゃいけないんですけど、だからと言って日本編を半年分やってしまうと13話じゃ収まらないし、そんな南極アニメは見てられないと思います。だから4話と5話の約半年の繋ぎ方はこれで完璧だと思うんですよ。全校集会のシーンで出発間近ってことを伝えつつ、めぐっちゃんの幼少期の回想の伏線を張って、それが不穏な感じになるからOPを挟んでから、リポートの場面に変える。リポートの場面では全生徒の前では堂々としていた報瀬が、緊張している様子を入れていく。そして結月の苦労みたいなのも。あと、4話でスポンサー募集してたのも解決しましたよ~って意味でこのペンギン饅頭号の撮影をするシーンがあったと思います。それと同時に資金不足も解決という認識でいいと思います。というように提示されている要素を追っていくと、密な構成になっていることが分かると思います。自然に話を進めながら、キャラクターの自然な会話で日常パートを作っているの、美しさがあると思います。

 

めぐっちゃん問題

 5話では出発の準備とめぐっちゃんの事を同時に進行させるわけだけど、荷物を準備していたら昔借りてたゲームがみつかったところから、その二つの移行をさせるのはつなぎとして良いよね。ゲームなくしたって言っても、ソフトじゃなくてこんなでかいハードの方をなくす人、初めて見ましたけどね...

 

 ゲームする前に無駄にはしゃぐし、自分が勝てなかったゲームの話するし、「あいつも変わってるよな」って少し悪意を含ませて言ってもポジティブに返されるし、自分がよく知らない友達の名前出してくるし、この時のめぐっちゃんにとっては腹立つよね。めぐっちゃんからしたら、キマリには自分が知らない友達なんていなくていいし、こんなに前向きじゃなくていいし、自信なくていいし、「だよね...」って自分の意見に従っていて欲しい感じなんでしょうね。

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 ここで報瀬たちはめぐっちゃんからみたら「親友の親友」という立場で、そういう嫉妬の気持ちも含まれていると思うんです。だから「親友の親友」に対するめぐっちゃんの反応は冷たい。

 「親友の親友」に冷たく当たっちゃうっていうのはめぐっちゃんを含めて思い当たる人も多いと思うんですが、「親友の親友」問題をすごく良く描いているのがキルラキル5話だと思うんですよね。それに関するツイートを貼っておくので、興味がある人だけ読んでもらえれば。

 

 

別れの前日

 「なんか転校してくみたいだったよね」「はあ、さようなら、プリンシェイク。しばしのお別れ」「他にやりようないだろ」ってセリフ、めぐっちゃんがひとつ前のセリフに返しているのが気になるんですよね。返答に時間がかかったというか。「このまま転校してくれたらいいのに」って思ったけど言えないし、他の返答を考えた結果「他にやりようないだろ」が出てきたのでは?って個人的には思いました。

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 このめぐっちゃんの「寂しい?」ってセリフの言い方が絶妙ですよね。上手いよねぇ。最後の希望みたいな感ものが感じられる言い方だと思います。この時めぐっちゃんはキマリの方を向くのに対してキマリはめぐっちゃんから見て真横を向いている。これは結構重要な描写だと個人的に思っています。1話で報瀬の横顔が多いのは、キマリではなくて「ここじゃないどこか」を見ているから、みたいな話を書いたと思うけど、この場面のキマリの横顔も同様に考えることができると思います。

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 ここでのキマリの描写はかなり発光が入っていてめぐっちゃんの暗さとの対比を強調していますね。1話での光と影の対比を5話では逆転させていますよね。この後からめぐっちゃんの攻撃が強くなるね。腕組むのとかもあるね。

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 報瀬は陰口に対しては冷静に無視できるけど、嘘を言いふらされるのは我慢ならないんですね。それに対して日向が冷静に「今まで陰口言われても無視してきたんだろ。それでいいんだよ」「人には悪意があるんだ、悪意に悪意で無期合うな。胸を張れ」という風に対応が大人だと見受けられます。陸上部での事があったから、そういう風に言っているわけで、このシーンで一番やりたかったことは、こういう日向の人間関係への考え方だと感じています。これは日向というキャラクター像の掘り下げであり、11話の伏線に直結しているわけで、とても大切な部分だから、横顔アップの画で印象を強めていると思います。日向がいるのが日陰だから色が暗めだと思うんだけど、晴れやかにこのようなポジティブなセリフを言えてるわけではない感が出てるかな、と思いました。

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 この自動販売機前のシーン4人が完全に右にずれていて、この画だけずっと見ていると「絶対左の自販機でもまた買うだろ」ってなるよね。

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 この場にいない結月の対処どうすんのかな~って思ってたけど、カラオケの画像を結月に送りましたね。結月の性格なら寂しがったりしそうだから、それを分かっていて、「一緒じゃなくて良かった...」っていう寂しさを感じさせないセリフを入れていると思います。

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 「発散した~」ところで綺麗に流れている川、「私、ずーと思ってた。遠くに行きたいとか、ここじゃ嫌だとか、自分が嫌いだとか。」で水をくみ上げるポンプが写される。ポンプで溜まっていった水が爆発して流れ出す、行動することの原動力の役割と考えられる。

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 「ほら、南極行くって決めてからめぐっちゃんとあんまり遊べなかったし。めぐっちゃんは清々してたかもだけど...」「そんなこと...まぁしてたと言えばしてたか」ってところで、意地悪な感じになるめぐっちゃんに陰を当てて表現しています。

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 この帰り道自体が、二人の関係性を表している感じがありますよね。これまでくっついて歩んできたが、キマリがカーブミラーで自分たち2人を客観的に眺める部分で、自分がめぐっちゃんにくっついて頼ってばっかりだったことを冷静に分析している。だから、分かれ道からキマリはめぐっちゃんと別の道を歩み始める、という意味があると思います。

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 めぐっちゃんの「そうだったか」に「そうだよ」って強く答えるキマリの態度はいつもと違っていてはっきっりしている。それだけこの事について考えていたんだろうな、と分かる。

 キマリがめぐっちゃんとの関係をこんなに考えているとは思ってもいなくて、予想外だと感じました。これはめぐっちゃんも同様に感じていると思っていて、戸惑いの中で握手に対応できなかった感じとかがあると思います。これまでめぐっちゃんの視点からすると、キマリに新しい友達ができて、新しい目標に向かって進んでいって。自分だけ置いてきぼりになっていた心情だったと思います。キマリは自分の事なんて気にしていないと思っていたからこそ、「めぐっちゃんは清々してたかもだけど...」に「そんなこと...まぁしてたと言えばしてたか」って強がってみたりとか。しかし、実際は、キマリは清々したなんて思ってなかったし、めぐっちゃんの事を考えていたわけで。出発前の大切な夜ご飯にも、めぐっちゃんを誘ってくれるし。それに気づかず、自分がいないとどうしようもないと思っていたキマリが自分から離れて何かを成し遂げようとするのが嫌で、妨害をして。一人では何もできないのは自分の方だと気づいたから、出発の朝に告白できたと思います。

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静けさの強調方法

 カラオケのシーンあたりで「あれ?劇伴が色んな種類、流れるな?」って思ったんですけど、実際に9:06~9:56、9:57~11:04、12:04~12:05、13:09~14:07、14:10~14:42、15:21~16:26、16:56~18:04の間で7種類の劇伴が流れてるわけですよ。そして、この後に出発朝のシーンがある。これは、出発朝のシーンでこれまで通りワクワクする様な音楽が入るだろうと見せかけて、無音のあの展開に持っていくために意図的に5話中盤では劇伴を多くしていると考えています。個人的にこういう工夫が、楽しいし、嬉しいんだよな。

 

出発の朝の告白

 いいね~!このめぐっちゃん!!表情もいいし、顔の陰り具合もいいし。暗い色のコートに手突っ込んでるのもいいし。全てが不穏というか、何かある感じが良いですよね~!!

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 めぐっちゃんとキマリの共依存みたいな関係を描いたのは本当にすごいと思いました。キマリって主人公が成長する形のアニメで典型的な「元気でポジティブだけど、ダメなところも多くて、周りに助けてもらってる」タイプの主人公だと思うんですよ。じゃあその中で主人公が成長していくときに、助けてあげていた周りの友達は成長せずに置いてきぼりになる気がします。成長途中で新たな人間関係を築くことで元の友達とは疎遠になりがちですし。そういう部分を無視せず、むしろ注目するって、リアルっぽくてストーリーとして面白いと思います。幼少期のめぐっちゃんて良かれと思ってキマリの面倒を見ているわけで、それで褒められていたわけだから、自然にそうゆう関係になる事が共感できてしまうし。だから、よりもいはすごいな、と5話で改めて思いました。

 めぐっちゃんの「最初にお前が南極に行くって言ったときなんでこんなに腹が立つんだって思った」ってセリフがあまりにもリアル。感情としては子供っぽいんだけど、かなり黒いですよね。こういう感情の経験がある人は多いのではないかと、個人的には思います。さらに「自分に何もなかったから、キマリにも何も持たせたくなかったんだ」ってセリフもすごい。何者かになりたい青年期に自分より「下」にいると思っていた幼馴染が何かを成し遂げようとしている、妬み、恐怖、自己嫌悪が滲み出てますよね。いや~いい所ついてくるな~と感心しています。

 

 「一緒に行こう」「どこに...」「南極!!」ってセリフが良いですね。出発の朝にめぐっちゃんの告白を聞いて、自分がめぐっちゃんを置いてきぼりにしていたと思って、行けるはずないのに、どうしようもないのに「一緒に行こう。南極!!」としか言えないキマリ。でも、素直な優しさで言ってるんだと思います、南極に行くことでめぐっちゃんも自分を変えられると思ったから。

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 よりもいは青春を描いたアニメだけど、アニメでよく見る綺麗な青春だけじゃなくて、黒くて、目立たないけれど確実に存在する青春の陰の部分があるからこそ、面白いんですよね~。

 

 「淀んだ水が溜まっている。それが一気に流れていくのが好きだった。決壊し、解放され、走り出す。淀みの中で蓄えた力が爆発して、全てが、動き出す!」で締めることで、1話の最初から5話までの日本編をまとめるの、良さです。

 

 

6話に続く 

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