よりもい5話の感想と考察と妄想

 

 

アニメ「宇宙よりも遠い場所」の5話に関するオタクの個人的な妄想、妄言です。

 

 

幼少期の回想

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 キマリの幼少期の声はあまり変わらないんですけど、めぐっちゃんの声は今と全然違って幼いですよね。金元寿子さんは個人的にはガルパンのカチューシャのイメージが強いので「あぁ、この声この声」と思ったんですが、めぐっちゃんとキマリを比較すると声の部分でも、キマリの声は幼少期のそのままに近い、幼さが残っているのが表現されているのかなぁと思いました。

 

 「お姉ちゃんになったような気がした」「明日、遊んでもいよ?」いいですね~このセリフ。自分が面倒を見てあげている、自分が管理してあげる、的な上から目線が伝わりますよね。先生の「偉いね、メグミちゃん」っていうのもいいんだよね。悪いことをしているわけではなく、自然に自分の立場が上だと思っていくわけで。

 

  

・このシーンって普通のアニメみたいなカットじゃなくて、カメラワークで砕氷艦とリポーターを連続して映して、日向が撮影している映像っぽくしてるんですよね。日向の撮影技術、素人にしてはかなり良さげじゃないですか?こういう部分でも日向の器用さが表現されているの、とても細かいと思います。

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4話から5話への時間経過

 5話全体の流れの話なんですけど、5話って日本編最後の話でメグちゃんとの話がメインだと思います。4話は夏休み前の話で5話冒頭では先生が「来月より南極に行くことになった」と言っているので11月頃になっているんですよね。大きな時間の隔たりがあるところを一気にスキップしたので、視聴者を引っ張る意味もあって冒頭のシーンでめぐっちゃんの回想から始まっていると思います。ここは難しい部分だと思っていて、「女子高生、南極に行く」っていう大プロジェクトだから準備に時間がかかるのは当然で、半年以上前の夏休み前からストーリーが始まってなくちゃいけないんですけど、だからと言って日本編を半年分やってしまうと13話じゃ収まらないし、そんな南極アニメは見てられないと思います。だから4話と5話の約半年の繋ぎ方はこれで完璧だと思うんですよ。全校集会のシーンで出発間近ってことを伝えつつ、めぐっちゃんの幼少期の回想の伏線を張って、それが不穏な感じになるからOPを挟んでから、リポートの場面に変える。リポートの場面では全生徒の前では堂々としていた報瀬が、緊張している様子を入れていく。そして結月の苦労みたいなのも。あと、4話でスポンサー募集してたのも解決しましたよ~って意味でこのペンギン饅頭号の撮影をするシーンがあったと思います。それと同時に資金不足も解決という認識でいいと思います。というように提示されている要素を追っていくと、密な構成になっていることが分かると思います。自然に話を進めながら、キャラクターの自然な会話で日常パートを作っているの、美しさがあると思います。

 

めぐっちゃん問題

 5話では出発の準備とめぐっちゃんの事を同時に進行させるわけだけど、荷物を準備していたら昔借りてたゲームがみつかったところから、その二つの移行をさせるのはつなぎとして良いよね。ゲームなくしたって言っても、ソフトじゃなくてこんなでかいハードの方をなくす人、初めて見ましたけどね...

 

 ゲームする前に無駄にはしゃぐし、自分が勝てなかったゲームの話するし、「あいつも変わってるよな」って少し悪意を含ませて言ってもポジティブに返されるし、自分がよく知らない友達の名前出してくるし、この時のめぐっちゃんにとっては腹立つよね。めぐっちゃんからしたら、キマリには自分が知らない友達なんていなくていいし、こんなに前向きじゃなくていいし、自信なくていいし、「だよね...」って自分の意見に従っていて欲しい感じなんでしょうね。

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 ここで報瀬たちはめぐっちゃんからみたら「親友の親友」という立場で、そういう嫉妬の気持ちも含まれていると思うんです。だから「親友の親友」に対するめぐっちゃんの反応は冷たい。

 「親友の親友」に冷たく当たっちゃうっていうのはめぐっちゃんを含めて思い当たる人も多いと思うんですが、「親友の親友」問題をすごく良く描いているのがキルラキル5話だと思うんですよね。それに関するツイートを貼っておくので、興味がある人だけ読んでもらえれば。

 

 

別れの前日

 「なんか転校してくみたいだったよね」「はあ、さようなら、プリンシェイク。しばしのお別れ」「他にやりようないだろ」ってセリフ、めぐっちゃんがひとつ前のセリフに返しているのが気になるんですよね。返答に時間がかかったというか。「このまま転校してくれたらいいのに」って思ったけど言えないし、他の返答を考えた結果「他にやりようないだろ」が出てきたのでは?って個人的には思いました。

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 このめぐっちゃんの「寂しい?」ってセリフの言い方が絶妙ですよね。上手いよねぇ。最後の希望みたいな感ものが感じられる言い方だと思います。この時めぐっちゃんはキマリの方を向くのに対してキマリはめぐっちゃんから見て真横を向いている。これは結構重要な描写だと個人的に思っています。1話で報瀬の横顔が多いのは、キマリではなくて「ここじゃないどこか」を見ているから、みたいな話を書いたと思うけど、この場面のキマリの横顔も同様に考えることができると思います。

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 ここでのキマリの描写はかなり発光が入っていてめぐっちゃんの暗さとの対比を強調していますね。1話での光と影の対比を5話では逆転させていますよね。この後からめぐっちゃんの攻撃が強くなるね。腕組むのとかもあるね。

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 報瀬は陰口に対しては冷静に無視できるけど、嘘を言いふらされるのは我慢ならないんですね。それに対して日向が冷静に「今まで陰口言われても無視してきたんだろ。それでいいんだよ」「人には悪意があるんだ、悪意に悪意で無期合うな。胸を張れ」という風に対応が大人だと見受けられます。陸上部での事があったから、そういう風に言っているわけで、このシーンで一番やりたかったことは、こういう日向の人間関係への考え方だと感じています。これは日向というキャラクター像の掘り下げであり、11話の伏線に直結しているわけで、とても大切な部分だから、横顔アップの画で印象を強めていると思います。日向がいるのが日陰だから色が暗めだと思うんだけど、晴れやかにこのようなポジティブなセリフを言えてるわけではない感が出てるかな、と思いました。

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 この自動販売機前のシーン4人が完全に右にずれていて、この画だけずっと見ていると「絶対左の自販機でもまた買うだろ」ってなるよね。

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 この場にいない結月の対処どうすんのかな~って思ってたけど、カラオケの画像を結月に送りましたね。結月の性格なら寂しがったりしそうだから、それを分かっていて、「一緒じゃなくて良かった...」っていう寂しさを感じさせないセリフを入れていると思います。

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 「発散した~」ところで綺麗に流れている川、「私、ずーと思ってた。遠くに行きたいとか、ここじゃ嫌だとか、自分が嫌いだとか。」で水をくみ上げるポンプが写される。ポンプで溜まっていった水が爆発して流れ出す、行動することの原動力の役割と考えられる。

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 「ほら、南極行くって決めてからめぐっちゃんとあんまり遊べなかったし。めぐっちゃんは清々してたかもだけど...」「そんなこと...まぁしてたと言えばしてたか」ってところで、意地悪な感じになるめぐっちゃんに陰を当てて表現しています。

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 この帰り道自体が、二人の関係性を表している感じがありますよね。これまでくっついて歩んできたが、キマリがカーブミラーで自分たち2人を客観的に眺める部分で、自分がめぐっちゃんにくっついて頼ってばっかりだったことを冷静に分析している。だから、分かれ道からキマリはめぐっちゃんと別の道を歩み始める、という意味があると思います。

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 めぐっちゃんの「そうだったか」に「そうだよ」って強く答えるキマリの態度はいつもと違っていてはっきっりしている。それだけこの事について考えていたんだろうな、と分かる。

 キマリがめぐっちゃんとの関係をこんなに考えているとは思ってもいなくて、予想外だと感じました。これはめぐっちゃんも同様に感じていると思っていて、戸惑いの中で握手に対応できなかった感じとかがあると思います。これまでめぐっちゃんの視点からすると、キマリに新しい友達ができて、新しい目標に向かって進んでいって。自分だけ置いてきぼりになっていた心情だったと思います。キマリは自分の事なんて気にしていないと思っていたからこそ、「めぐっちゃんは清々してたかもだけど...」に「そんなこと...まぁしてたと言えばしてたか」って強がってみたりとか。しかし、実際は、キマリは清々したなんて思ってなかったし、めぐっちゃんの事を考えていたわけで。出発前の大切な夜ご飯にも、めぐっちゃんを誘ってくれるし。それに気づかず、自分がいないとどうしようもないと思っていたキマリが自分から離れて何かを成し遂げようとするのが嫌で、妨害をして。一人では何もできないのは自分の方だと気づいたから、出発の朝に告白できたと思います。

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静けさの強調方法

 カラオケのシーンあたりで「あれ?劇伴が色んな種類、流れるな?」って思ったんですけど、実際に9:06~9:56、9:57~11:04、12:04~12:05、13:09~14:07、14:10~14:42、15:21~16:26、16:56~18:04の間で7種類の劇伴が流れてるわけですよ。そして、この後に出発朝のシーンがある。これは、出発朝のシーンでこれまで通りワクワクする様な音楽が入るだろうと見せかけて、無音のあの展開に持っていくために意図的に5話中盤では劇伴を多くしていると考えています。個人的にこういう工夫が、楽しいし、嬉しいんだよな。

 

出発の朝の告白

 いいね~!このめぐっちゃん!!表情もいいし、顔の陰り具合もいいし。暗い色のコートに手突っ込んでるのもいいし。全てが不穏というか、何かある感じが良いですよね~!!

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 めぐっちゃんとキマリの共依存みたいな関係を描いたのは本当にすごいと思いました。キマリって主人公が成長する形のアニメで典型的な「元気でポジティブだけど、ダメなところも多くて、周りに助けてもらってる」タイプの主人公だと思うんですよ。じゃあその中で主人公が成長していくときに、助けてあげていた周りの友達は成長せずに置いてきぼりになる気がします。成長途中で新たな人間関係を築くことで元の友達とは疎遠になりがちですし。そういう部分を無視せず、むしろ注目するって、リアルっぽくてストーリーとして面白いと思います。幼少期のめぐっちゃんて良かれと思ってキマリの面倒を見ているわけで、それで褒められていたわけだから、自然にそうゆう関係になる事が共感できてしまうし。だから、よりもいはすごいな、と5話で改めて思いました。

 めぐっちゃんの「最初にお前が南極に行くって言ったときなんでこんなに腹が立つんだって思った」ってセリフがあまりにもリアル。感情としては子供っぽいんだけど、かなり黒いですよね。こういう感情の経験がある人は多いのではないかと、個人的には思います。さらに「自分に何もなかったから、キマリにも何も持たせたくなかったんだ」ってセリフもすごい。何者かになりたい青年期に自分より「下」にいると思っていた幼馴染が何かを成し遂げようとしている、妬み、恐怖、自己嫌悪が滲み出てますよね。いや~いい所ついてくるな~と感心しています。

 

 「一緒に行こう」「どこに...」「南極!!」ってセリフが良いですね。出発の朝にめぐっちゃんの告白を聞いて、自分がめぐっちゃんを置いてきぼりにしていたと思って、行けるはずないのに、どうしようもないのに「一緒に行こう。南極!!」としか言えないキマリ。でも、素直な優しさで言ってるんだと思います、南極に行くことでめぐっちゃんも自分を変えられると思ったから。

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 よりもいは青春を描いたアニメだけど、アニメでよく見る綺麗な青春だけじゃなくて、黒くて、目立たないけれど確実に存在する青春の陰の部分があるからこそ、面白いんですよね~。

 

 「淀んだ水が溜まっている。それが一気に流れていくのが好きだった。決壊し、解放され、走り出す。淀みの中で蓄えた力が爆発して、全てが、動き出す!」で締めることで、1話の最初から5話までの日本編をまとめるの、良さです。

 

 

6話に続く 

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よりもい4話の感想と考察と妄想

 

 

アニメ「宇宙よりも遠い場所」の4話に関するオタクの個人的な妄想、妄言です。

 

 

 めぐっちゃんの嫉妬

 「無理しすぎないようにな、それ以上頑張ってダメだったらすごい後悔するだろうから」

 めぐっちゃんの嫉妬が分かるんだけど、キマリがいなくなってめぐっちゃんが画面端のシーンではめぐっちゃんの孤独、置いてきぼり感がある。このシーンって個人的に面白いなーって思っていて、最初はめぐっちゃんが左、キマリが中央、モブの後ろ姿が右に映ってるんだけど、モブがいなくなることで右側の不自然な余白が不安定な感じになる。さらにそこからキマリがいなくなることで、ひとりで端っこに残っためぐっちゃんを演出できるわけなんですよ。

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立川駅の使い方

 立川駅北口の明るい駅前から一変して、駅の近くの薄暗い通路にいて(実際に駅の入り口が地上3階くらいにあって、立体階段とか広場もその高さにあるので、立川駅前の地上一階ってこんな感じで薄暗いんですよね)、キマリが「ここ?」日向が「うん…間違いない」と困惑してるから、これから来る車が思ったよりもボロくて華やかでない、ことにこの薄暗い感じを重ねているのかなぁって思ってます。

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4話での珍しいセリフ

 報瀬「学校とは大違いね」キマリ「ふふん、クラス違うでしょー」

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 このやり取り、結構珍しいと感じていて、これまでのイメージは逆だと思うんですよ。キマリが「学校とは別人みたいだね-」って言って「クラス違うでしょ」って報瀬が冷静に言うイメージだったから、びっくりしました。

 不自然なところって(自分がそう思ってるだけですけど)何かあるから不自然になっていると思ってて、ここでは「南極の決め事やルールをここできちんと覚えていって」ってゆうかなえのセリフに対してキマリが元気よく「はーい!」って言ってるのに対して「学校とは大違いね」「ふふん、クラス違うでしょー」が続いてる。

 この「学校とは大違いね」ってセリフは単体では理解しにくいセリフで、「はーい!」「学校とは大違いね」だけだとぼーっと見てると何のことかわからないと思うんだよ。でも「ふふん、クラス違うでしょー」によって、あっ、報瀬がクラスでのキマリの様子を予想して言ったぽいな。→クラスでやるのは...授業か!!→あー、なるほど、報瀬は南極についての勉強と高校での勉強に対する、キマリのやる気の違いを揶揄したんだ。→あー!だから前半に勉強のくだりがあって、キマリが勉強に消極的なことが描写されていたのか!という風に(これは大げさだけど)読み解けると思うんですよ。だからこそ、キマリの冷静な指摘という珍しいセリフが出てきたのかな~、だから4話後半はキマリが学校にいる時には発揮できなかった長所を描いているのかな~と理解ができると思います。

 

画面の中心について

 このコンパスのシーンは全体的に中央を意識して見ていくと、とても面白いシーンで、立てた旗に対して方向を指示する場面が2回あって、どっちも正解は画面の中央に来るようになっていたり。4人を遠くから撮ってるのに、少し右にずれているなって思ったら、歩いて距離を測る報瀬が中央に位置しているからだったり。

 

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元気のない報瀬

 「うるかにしてください」のくだりでキマリは元気のない報瀬を気にかけてると思います。だから日向と結月の方向を向いて「ねぇ、なんか話そうよ!」って言っておいて、会話に報瀬が入ってくるのを待ってたと思うんだよ。上を向きながら喋ることもできるわけだし。会話の最初から報瀬が参加してこないことは分かってたんだけど、思惑通り楽しい感じになったにも関わらず、報瀬からは何の反応もなくて余計に元気ないのが心配になった感じですね。ここで初めて報瀬と吟の関係に踏み込むわけですね。

 ここだけじゃなくて報瀬の変化にキマリが気づいていて、気にかけているのが良いよね~~良い子だよ~キマリ~

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 ここまでの寝袋での会話って体と顔の向きは変えるけれど、体を起こして相手の表情を伺うほど、そこまで大切な事ではなかったわけで、このカットで実はみんないつもと違う報瀬を気にしていた、心配していたのが伝わってきていいですよね。

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 このキマリを止める日向のシーン、必要なんですけど、止められるのを分かっててやってるっぽいなって思っちゃいました。この場面で手を伸ばすってやらないっていうか、体を近づけるとか、そういう行動をとると思うんですよ。体をそのままで左手一本伸ばしてもどうにもできなくないか?って思っちゃいました。

 

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 けれど別の捉え方もあって、キマリが気の利いた言葉をかけたらいいのか、ぎゅっとしたらいいのか、どうしたらいいか分からないけどとりあえず心配だから、何となく手が伸びたってゆう心境で、日向がその迷いを察して止めた。っていう状況だったなら、上手なカットでキャラクターの動きもこれで完璧だと思うんですけど。

 結月の時は話を聞いたうえで抱きついた結果、結月の心に近づけたわけだけど、それは結月が自分の気持ちを素直に話してHELPがキマリに伝わってたからうまく行ったと思うんだよね。でもここでの報瀬って自分の気持ちが分からずにどうしていいのかも分かってないから、キマリがどうこうできる段階じゃないと思うんだよね。結月の場合は友達がいない事、報瀬の場合はお母さんの死の関係、だから問題の大きさが違うでしょ。っていう指摘ももっともなんですけど、例え難しい大きな問題を抱えている人がいても、キマリは助けようとするだろうし(今回は日向が止めたが)、12話では報瀬が「もういいよ」って言ってるけど、報瀬の気持ちに関わっていって、解決する。しかし、今は報瀬の気持ちが整理できるまで見守るのが正しいと思います。日向の判断がナイスだと思います。

 

 

報瀬がいない画

 ここでも中央云々の話をしたいんだけど、この2枚は3人が中央にバランスよくいないという違和感があると思います。ここでは当然報瀬がいない、っていう違和感を強調させていると思います。

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非日常からの眺め

 この明け方のシーンかなり良いですよね。やっぱよりもいはどの回もいい感じに終わるから好きになっちゃいますね~やっぱほとんどの話数で挿入歌で締めるのが効いてるんだと思います。このシーンはやっぱり力を込めてるってゆうか大切にしっかり作られた感が溢れてますよね。

 まず小岩の上にいる吟に対して「あの、何が見えますか?」っていうセリフがかっこいいですね。雲海を見るだけなら1.5m高い岩に登ったくらいじゃあんまり変わらないと思っていて、じゃあ何のため?って考えると、これはキマリと吟がいる日常と非日常っていう場所を示していると考えることができると思います。「あの、何が見えますか?」ってセリフは非日常から見た眺めを意識してるセリフだと感じましたし、それに対して吟が無言で手を伸ばして、キマリの足が地面を蹴るカットがあるのもそのためだと思います。キマリがこれまでいた日常から吟たち観測隊員がいる非日常へのステップアップだと受け取れると思います。この4話自体がキマリの上手く行かない日常と、自分の適性があったりする非日常の対比をテーマにしていることからも合ってるんじゃないかなと考えています。

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朝霧の意味

 キマリと吟の会話のシーンで朝靄が動いてるので「撮影ちゃんとしてるな~すごいな~」って思いました。霧をしっかり描写していることの何が称賛されるべきかっていうと、このシーンで言う霧はキマリの心の中での霧みたいなものでもあるんですよ。だからキマリが自分がどこかじゃなくて、南極に行きたいことが分かった時に朝日が差し込んでモヤが晴れる演出になるわけなので、ここでの朝靄は重要な役割があるわけですね。

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鮮やかなセリフ群

 「報瀬ちゃんのお母さんってどんな人だったんですか?」「どんなと訊かれると、変な人って答えしか出てこないわね」「報瀬ちゃんに似てます?」「さぁ、私は娘のことまではよく知らないから。ただ、あのしつこさと思い込みの強さはそっくりね、めんどくさい」「いいですよね~、めんどくさいの」「南極向きの性格ね、あなたは」

  「めんどくさい」というネガティブワードに対して「いいですよね~、めんどくさいの」って答えられるの、やっぱりキマリのこういうポジティブさが強いなぁと思いました。この他にも3話のオーロラについてや、8話で船酔いした場面でもこういう性格はありますよね。これは実際キマリの本心で、それは吟も同じだと思います。9話で吟と貴子の関係は詳しく書こうと思うけど、強い意志を持った貴子が吟を引っ張っていく感じで、これって報瀬とキマリの関係に近いと思うんですよね。だから吟も貴子とか報瀬の「思い込みの強さ」に魅せられた側だと思うんですよね~

 「南極向きの性格ね」の後には間があって「あなたは」と続くんだけど、「あれ?めんどくさい性格の報瀬や吟じゃなくて、キマリが南極にむいてるの?」って驚きますよね。上の話から考えるに、吟が自分自身(過去の?)とキマリを重ねて見ていて、自分と同じように、南極にむいているって話だと思います。

 

  

 

 「どうして南極に?あの子に誘われた?」「はい、でも決めたのは私です。一緒に行きたいって、このまま高校生活が終わるの嫌だって、ここじゃないどこかに行きたいって。」「でも!日向ちゃんと知り合って、結月ちゃんと知り合って、観測隊の人の気持ちを知って、隊長と報瀬ちゃんの事聞いて思いました。どこかじゃない、南極だって」「私、みんなと南極に行って」

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 かなえとの車内での会話と、冒頭の、同級生に南極をバカにされたシーンがここで効いてきますね。あと、貴子が書いた本であったり、極地研究所であったり、講習や訓練であったり、南極に触れてきて、それらもキマリが南極に行く気持ちにつながっているだろうし。

 

 ここで日が差し込むのがなぁ、すごく大切な要素なんですよ。これによってさっき書いた霧が晴れることになるし、それよりも、綺麗な朝焼けを見るために他の3人を呼ぶことで「私、みんなと南極に行って」の続きを4人で共有しているんですよ。4話のメインである「南極への決意の再確認」をできる限り自然に見せていて、これは面白いアイディアだと思いました。

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 詳しく話すと、もともと4話はキマリに「ここじゃない、南極だって」と言わせることが4話の締めくくりとして必要だったと思います。そして、それを引き出すがこのシーンでの吟の役割だと思うんですよ。というのも、何となく「南極に」行くことが決まっていた4人の内からはでは、なぜ南極に行くのか?って疑問が出てこないと思います。だから、4話で初めてこの4人を外から見て、ルート工作の時にも「残りの3人は何なの?」って疑問に思っていたような4人の関係の外側にいる吟が、「なぜ南極に行くのか?」を尋ねる人として適役ですよね。でも、吟にキマリの気持ちを伝えるのは良いけど、それで4話が終わってしまうと、「じゃあ他の3人の気持ちはどうなんだ」「報瀬のモヤモヤした気持ちは次回に持ち越しか?」ってなっちゃうはず。だから吟に疑問を出してもらって、その答えを4人で確認するという作りにくそうな状況を、この景色によって作り出す。この朝焼けにはそういう目的があると個人的に思っています。そのようにして4人が集まり、キマリの思いを共有することでこの4話は完成されると思います。

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 ただ、キマリが自分の気持ちを吟に話した流れのまま、他の3人に話すって、結構難しいというか、考えづらいシチュエーションだと思います。実際、吟と話している途中で日の出直後すぐにいなくなる吟って、4人のために空気を読んだと思っていますが、少し不自然さもあると思います。

 

「私、みんなと行きたい。みんなと一緒に南極星見つけて、オーロラ見て、かき氷食べて、ペンギンと記念写真撮りたい!絶対行こう!」

 かき氷以外はこれまでに出てきてるんですよね~伏線の伏線までしっかりしてるという。

 

 

4話のメインはキマリ

 報瀬と吟の関係で報瀬が何かありそうなことに、キマリが勘付くシーンで自分は「気遣いができる点では日向の方がイメージあるけどな」って思ったんですよ。しかし、このシーンで報瀬から悩みというか心情を聞き出せるのはキマリだけなんだよね、3話でも書いたけどキマリは相手に心を開かせるのが得意だから。この後も一見厳しそうな吟と自然に話せて、普通に打ち解けていてキマリの強さが出てくるんですよね。こうやってキマリの性格に注目してあげると、4話って前半ではキマリのダメな部分(お母さんに怒られる、勉強が苦手)がでていて、後半では長所やすごいところ(コンパサーや打ち解ける力)が発揮されてるんですよね。4話でのテーマはこの対比だと思っています。こうゆう所をみると、いつもの学校生活では何もできなかったキマリが、学校以外ではこんなにも輝けるっていうのを見ている気もしますよね。「学校とは大違いね」「ふふん、クラス違うでしょー」の話はさっき書きましたが、それとも関連してますよね。やっぱり、キマリが一歩を踏み出せてよかったな...と思いますよね。

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5話に続く  

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よりもい3話の感想と考察と妄想

 

 

アニメ「宇宙よりも遠い場所」の3話に関するオタクの個人的な妄想、妄言です。

 

 報瀬と日向の違い

 結月を説得するという「目標」が見つかると、何も恐れずに突っ走る性格の報瀬は結月をいち早く説得しようとする。一方、日向は「日向ちゃん、オトナー!」って言われてるように、結月の気持ちに向き合うべきだと指摘して、冷静に報瀬を止める。報瀬の思いの強さの悪い面が出た時に、日向の相手の本心を読む力がそれをカバーしている。

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 日向のこの力ってやっぱり陸上部での過去が関係してると考えられて、言葉上ではいくらでも嘘をつけるから、本心を見抜くために普通の会話でも相手が本当はどう考えているかに注意を払っていると考えます。

 「私さ、結局自分の気持ち優先させてばかりで、他人の事考えてないのかも」これは実際その通りで報瀬の「思い込みの強さ」という長所があるからこその短所ですね。ただこれをちょっと冗談ぽくしながら、ちゃんとフォローする日向は流石だな、ほんとコミュニケーションが上手すぎる!と思います。

 

 路上の信号が赤になっているのは、報瀬の進みたい、はやる気持ちに対して日向が冷静にストップをかけたことを表しているのかな?と思いました。

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 「わたしい~」って言うカットマジで良い。良いよ~日向ちゃん!

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 はぁ!?しれっと手を重ねてるじゃん!すごい、あまりにも仲よくなり上手かよ!?お前ら仲良しかよ...仲良しじゃん...あぁ...ああぁ~、良い~~~~~

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 やっぱりね~、よりもいで泣けるシーンは多いけど、個人的1位は11話の日向の話で。やっぱりこれはこれまで4人の旅路を一番冷静にサポートしてきた日向が見せる弱さ、それに真剣に向き合う報瀬、ってゆうのが要因としてあるので、日向がしっかり者であることを序盤からしっかり描き重ねていったからこそ、であると言える。

 

結月への接し方

 結月が教科書広げる時にキマリがオーダーボタンをどけていて、「キマリってこんなに気遣いできる子なの!?」って少し驚いたんですけど、年下の結月を妹みたいに思ってるのかなと感じました。これは結月の隣に座ってるのがキマリである理由とも重なると思ってて、昨日初対面の人の隣に座るのって心理的に抵抗が少しはあると思うんですよ。けどキマリにはそれができる。年下に優しくできるのは、いいお姉ちゃんだからかなぁって思いました。

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 報瀬が「ちょっとその前に聞いておきたいことがあって」の時に、日向が「おっ」って感じで報瀬の方を見るんですけど、これは「どうして行きたくないの?」って尋ねるのは、通常では報瀬の役割ではなくて、昨夜の報瀬の反省があったからこそなんですよね。

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 結月が問い詰める相手をキマリから報瀬に変更してるのいいですよね~もう結月も報瀬の感情が出やすい性格を理解してるってゆう感じありますよね。キマリの質問から母親のたくらみを推理することからも頭の回転が速くて、年下なのにしっかりしている(勉強面も)印象を与えてると思います。

 

 

 ここで「私、友達いないんです。今じゃないですよ。今まで、今まで一度も」って言っているの、話し方も含めて、キマリたちと友達になれることを想定していないと思うんですよ。友達がいないから友達になりたいって思っている相手に「私、友達いないんです。今じゃないですよ。今まで、今まで一度も」って言うのは、悪手だと思うんですよ。それは結月も多分理解していて、この話を冷静にできるのは自分がグループが出来上がっているように見えるこの3人の中に混じる可能性がとても低いと感じているからだと思います。だから「親友同士じゃないですか!」を否定された時が意外だったと考えています。

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 「なんか抱きしめたくなった」「新学期とか私もすごい嫌だもん」「分からないですよ」「分かるよ」

 キマリが結月を抱きしめたのはやっぱり、15歳で年下なのに、タレントと女優をやっててしっかり者の結月が見せる弱さへのお姉ちゃんムーブかなぁと思います。キマリが共感できるのって、何か新しいことにチャレンジするときに怖くなる、不安になる気持ちを知っているからだと思います。新学期は何かと新しくなることが多いから、その気持は分かる。

 さらに、結月が「高校では絶対友達作ろうって。部活してバイトして、友達と放課後買い食いして、カラオケ行って」って言っている部分が高1のころ「高校に入ったらしたいこと...日記をつける。一度だけ学校をサボる。あてのない旅に出る。青春、する。」っていう目標を立てていた過去のキマリに被る部分があると思います。それの一歩を踏み出すのに苦労したキマリは、高校で新しいことに果敢に挑戦している年下の結月を、凄いと思っていて、応援したくて、でもうまく行っていないみたいだから自分まで辛くて。みたいな気持ちで抱きついたのではと考えています。「ノートの上で手に力がこもる結月と、それを見て泣きそうになるキマリ」っていう描写の意図もこんな感じだと思いました。

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 あと、キマリって報瀬や日向と違って、一人でいることって得意じゃないと思うんです。それは1話で書いた、ぬけているところがあって(体操服、授業態度など)誰かに頼りがち、報瀬がいたからこそ旅に出れた、ことからわかる。だからキマリが一番結月に共感できたんだと思います。

 

 

 

・報瀬の正面の顔が画面の中央からずれているカット、違和感があって、この場合はキマリがひよっこり出てくるという仕掛けなんですね。

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結月の夢

 この結月の表情良いですよね、1話の報瀬に誘われたキマリぐらい心がワクワクしてそうですよね。そのキマリは、3話では1話の報瀬並みに 良い笑顔で結月に手を伸ばしてるんですね。窓からキマリたちが来たのと強風だったのも、ワクワク感の表現かなって思います。

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 この夢の中で、結月がキマリの手を取ることを決断できたのは、当然キマリの存在があったからで。キマリが素直であるから相手の正直な気持ちを引き出せて、誰とも打ち解けるのが早く、すぐ仲良くなれるのが理由だと思うんだけど、結月もこのパターンで仲良くなっていて、「純粋になんで南極に行きたくないのかを訊いて、そこで結月の気持ちを知って、それでいて相手に対して、素直に自分の気持ちを行動で表現する」ことで、悩んでいたクラスメイトとの関係よりも先日会ったばかりの3人との旅を、結月は心から望んだんだと思います。

 よりもいは実質12話(最初から13話はエピローグ回と最初から決めていたとのこと。4人が出会って、南極に行く準備をして、南極までの航海をして、南極に到着して、南極から帰ってくる、ってゆう南極に行く本筋に加えて、それぞれ4人の抱えている問題解決やキャラクターの味を出す、途中から大人組の南極への思いを描くなどなど、普通のアニメ12話の量ではないんですよ。だから4人が仲良くなるのに時間が掛けれなくて、主人公であるキマリはこのようなすぐに仲良くなれるプロみたいなキャラになっていると感じました。この点においては性格があって物語があるのではなく、物語があって性格があると思います。

 

 

 このアニメでは女の子のへそチラが、1コマ1コマ見ていく人用の隠しボーナスみたいなものになってるんですかね?

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 笑ってから「...変な夢」って言うまでのこの表情が良いよね~~~良いよね~~

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 この体より先に気持ちが動いた、体がついていかない、みたいなカメラ先行の振り向きのカットいいですよね~~大好き~~

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 いやー、これ、憎いストーリーですよねー、一度は結月がキマリの手を取ったんだけど夢の中の話で。夢の中だったからこそ、見ている我々は結月が本当は南極を目指すのに誘ってもらいたくて、行きたいのが分かってるんですよ。しかし、起きたら現実は何も変わっていなくて、クラスの友達には見限られてしまって。そこに、今度は本当に、キマリたちが誘いに来てくれて。完全に感情移入して泣いちゃうやつですね...

 

 扉を受け止めるのが報瀬なのは、3話での成長を表してだと思います。「時間ある?」も報瀬なりに、気を遣ってたらいいな...

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 いやー、この涙って、ずっと大人っぽく、振舞ってきた結月は人前で見せるはずがなかったもので、気を張り続けていたからこそ、友達同士の気の緩むような、普通の会話で、これまで我慢してきた涙が、寂しかったし孤独だった気持ちが一気に流れたと思うんですよね。この結月の泣き方も幼さがあるというか、大人じゃなかったんだ、と思わせる感じあるよね...

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オーロラの伏線

 「でも、オーロラってなかなか見れないんじゃないのか?」「聞いたことあります」に対してキマリの「じゃあもし本当に見ることができたら、南極でオーロラ見た世界で唯一の高校生になれるかも」ってポジティブ返し過ぎてすごいです。このポジティブさって後々の旅で活躍するんですけど、その最たる例が8話の「そうじゃないよ。選択肢はずっとあったよ。でも選んだんだよ、ここを」ってセリフだと思うんだけど、キマリは他の3人よりひとつ上のポジティブな考え方をする時があって、それが4人を勇気づけたり、励ましたりしていると思います。これはキマリの「諦めなさ」にも関連してくる重要な性格だと思います。

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 このシーンってオーロラが最後の方で綺麗に回収されるのでそっちに目が行きがちですが、こうゆう性格面での伏線(描写)もきちんと張られていて、「よーくできたアニメだぁ~」と感嘆せざるをえないですね。

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感想

 結月が思っている友達の関係は毎日学校で会って、つるんで、休日は一緒に遊んで、って感じのもので、それは幼稚園、小学校、中学校ではその友達の形が多いと思います。しかしキマリたちの関係は学校が同じわけでもなく、遊んだりもしないけれど、南極に行くという目標を共有している関係である。そうゆう別枠の関係で、それは同年代との関わり方が友達の一択だった結月にとっては斬新なものに感じたと思う。この関係になって旅を終えた4人は13話で、それぞれ別々の生活に戻る。でも、また旅に出ようと約束する。良い関係だなと思います。この関係の経験があったからこそ、結月はこれからの仕事で上手く行くんじゃないかなって思います。ただし、結月には学校の友達や他の他人との関係もいろいろ経験して、大きくなってほしいなぁと思いました(父親か?)。

 

 

4話に続く 

taji488.hatenablog.com

 

 

 

よりもいにおける「思い込みの強さ」と「諦めなさ」の感想と考察と妄想

 

アニメ「宇宙よりも遠い場所」に関するオタクの個人的な妄想、妄言です。

 

 

 よりもいという物語におけるキャラクターの性格は重要で、このアニメの見所の1つだと思うんですけど、その中でも、キマリと報瀬と吟の性格やものの考え方はストーリーの軸になってくるほど大切な要素だと思います。色々考えた結果、「思い込みの強さ」と「諦めなさ」という2つの観点で、よりもいを読み解いていくと面白いなと思ったので、書きます。あくまで個人的な解釈ですが。

 

 

4話の吟とキマリの会話

 「報瀬ちゃんに似てます?」「さぁ、私は娘のことまではよく知らないから。ただ、あのしつこさと思い込みの強さはそっくりね、めんどくさい」「いいですよね~、めんどくさいの」「南極向きの性格ね、あなたは」

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 ここでは「あのしつこさと思い込みの強さはそっくりね、めんどくさい」っていうセリフの内容上、「しつこさ」って少し短所っぽく言われているわけだけれど、「諦めなさ」に言い換えて、「諦めなさ」「思い込みの強さ」の2つの要素について考えたいと思います。

 まず結論から言うと、貴子と報瀬が「思い込みの強さ」を持っていて、吟とキマリが「諦めなさ」を持っていると考えます。

 

 理由を説明していきます。

 

1話について

 1話は、一歩踏み出せないキマリが報瀬に誘われて一歩を踏み出した。とまとめることができると思いますが、この流れは偶然ではなく、キマリが失敗はしたけれど自分で決めて旅に出ようとしたことで、偶然100万円を拾って、自分の大嫌いな部分が分かってたからこそ、報瀬に気持ちを伝えて、応援してると言えた、という必然の部分もあると思いたいです。

 そして、キマリが能動的に行動したから変われたというのは「貴子の本」によって表現されていると思います。報瀬は一度キマリに本を渡しておいて、自分が南極に行く話をする。これに対するキマリの反応が他の人と同じであったため、報瀬は本を返してもらう。キマリにとって、報瀬と最初に話した時は失敗だったと言える。そこでキマリは図書館に行って、自ら、再びチャンスを得ようとする。そして報瀬とのシーンに繋がるわけなので、キマリが行動した事に意味があるという風に描かれていると思います。

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 そして、1話でこのように描かれている「失敗しても再び挑戦する」というキマリの性格は「諦めなさ」であると捉えられると思います。

 

 次に、なんで報瀬と一緒ならキマリは一歩踏み出せたのか、という話をしようと思います。複数理由はありますが、その1つとしては、目的を持っているからという理由が挙げられます。目的がはっきりしている報瀬と目的がはっきりした旅であれば、実行することができた、という部分があると思います。

 「あてのない旅に出る」「青春、する」の目標からわかるように、キマリの当初の目標は抽象的で、4話のラストで目的が自分で納得できるようになるまでに、明確な目的がない。だから1話時点でも、報瀬が持っている「南極に行く」という明確な目的が輝いて見えると思います。それが南極の本を読んだ時の印象深さとも関連していると思います。

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 しかし、1話時点での報瀬の目的っていうのは物語序盤では定まっていなくて、自分がどう考えているかは分からないが変わるには南極に行くしかない、と思っていたことが9話で明かされます。だから報瀬にもはっきりとした目標はなかった。けれど報瀬はキマリと違って南極に行く事を目的として、1人でも進み続けている。この違いは報瀬が「思い込みの強さ」を持っていることに起因しています。100万円あったら南極に行けると思い込んでいたり、2話の無茶な作戦でもなんとかなると自信満々だったり、そもそも自分の気持ちが分かっていなくても南極に行くという、南極を目指す目的さえも「思い込み」であると言えると思います。このように考えると1話の構図というのは報瀬の「思い込みの強さ」が「諦めなさ」を持っているキマリの背中を押したという風になると思います。

 1話では報瀬の長所がキマリの短所を補っているんですね。いくらキマリの気持ちが強くて、最終的に決心したのがキマリだったとしても、報瀬の後押しのおかげであることに間違いはないと言えます。

 

 

2話について

 1話で見られたキマリの「諦めなさ」は2話でも発揮されます。キマリから観測隊に関する懸念材料を聞いた報瀬は、キマリが嫌になったと「思い込ん」でしまう、でもキマリは「諦めない」から信号機が変わっても叫び続ける。これによって、キマリが渡るはずだった信号は赤になっていて、次の信号を待つことになり、報瀬が戻ってきて解決に至るわけですよ。1話とは逆に「諦めなさ」が「思い込みの強さ」を助けているんですよ。これは明らかに1話と対称性があり、報瀬の「思い込みの強さ」とキマリの「諦めなさ」が相互補完的な関係であることを描いているんですよ。1話と逆の補いを、2話の信号での別れという考えられた演出を用いながら見せることで相互的な関係であることを示すの、鮮やかすぎませんか?だから、すごく好きなシーンなんですよね。そしてこれは後の4話や9話における貴子の「思い込みの強さ」と吟の「諦めなさ」が補い合う関係であることの証明でもあると捉えています、個人的に。

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4話について

 「報瀬ちゃんに似てます?」「さぁ、私は娘のことまではよく知らないから。ただ、あのしつこさと思い込みの強さはそっくりね、めんどくさい」「いいですよね~、めんどくさいの」「南極向きの性格ね、あなたは」

 報瀬に引っ張られて南極を目指し始めたキマリに対して、吟は貴子の「私、誰も踏んでない雪に足跡つけるの好きなんだよねー!」(7話)という一言が南極を目指すキッカケとなっているので、報瀬に引っ張られるキマリ、貴子に引っ張られる吟、っていうのは似た関係だと思うんですよ。そうなると、「南極向きの性格ね、あなたは」ってのは吟とキマリを重ねて言ったセリフであって。吟は貴子のしつこさと思い込みの強さっていう性格をめんどくさいと思いながらも、どこかで良いと思っていて、それに引っ張られて南極まで来たんだと思います。だから「雲みたいな人」「雲ってすごいよね。掴めないのに、上見るといつもそこにある」っていう表現って「常に自分の先を進んで引っ張っている」みたいなイメージになると感じました。

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 貴子や報瀬は「思い込みの強さ」で吟やキマリを引っ張るという関係性があると考えたので、貴子も報瀬と同様に「思い込みの強さ」を持っていると考えました。実際、貴子は「私、誰も踏んでない雪に足跡つけるの好きなんだよねー!」っていう些細な理由から、南極に行くことを実現してしまう部分があるし。

 報瀬と貴子が「思い込みの強さ」を持っているのって、遠回りだけど、報瀬が貴子から影響されていると思っていて。報瀬は幼いころから貴子が南極に行くために必死な部分を見ているし、9話回想で「でも行くんでしょ?」に訊いて貴子は「うん」って答えている部分とかも、南極への思いの強さは感じていると思う。客観的に見たら、父親がいない(っぽい)状態で貴子は娘を一人にしてまで南極に行くわけだから。さらに、南極に行って無事帰ってこれる保証はなくて、実際に貴子は帰らずに報瀬には親がいない状況になってしまったわけだし。報瀬はまだ中学生なのに。ここまでして南極に行く理由っていうのを報瀬は疑問に思っていたと思う。そしてこの疑問は確実に報瀬が南極に行く強い思いを形成しているのは7話からも分かると思います。そういう形で「思いの強さ」が親から子に受け継がれたといえると思う。

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 吟の「さぁ、私は娘のことまではよく知らないから。ただ、あのしつこさと思い込みの強さはそっくりね、めんどくさい」というセリフを考えると、貴子と報瀬は「諦めなさ」を持っている風ではあるんですが、メインは「思い込みの強さ」だと考えています。報瀬はキマリの「諦めなさ」に度々救われるわけだし。

 

 

9話について

 縄跳びが上手くできずに、心折れそうになっている幼少期の報瀬に対して「できないの?」って吟が尋ねて、幼少時代の報瀬は素直に「はい」って答えている。そのあとに吟は初期の南極観測隊の話をして、諦めない事の大切さを説いたんだと思います。その結果、報瀬は縄跳びができるようになっている。

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 報瀬に足りていないものが「諦めなさ」であり、9話における貴子の「だってあの子には吟ちゃんの魂が必要だから」というセリフから、それを過去に吟が補っていると言えると思います。よって吟は「諦めなさ」を持っていると考えます。

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11話について

 報瀬の「思い込みの強さ」は、元チームメイトに怒るシーンで表現されていると思うんですよ。だって日向が自分のために怒って欲しいだなんて言えるわけないし、その部分は「日向がそうして欲しいと思っていると、私が勝手に思い込んでいるから」なんですよね。そしてその様子を見た吟は「準備しようか」と言って、天文台を立てる決心をするわけですよ!このシーンで内地へ行くか迷っていた吟が、報瀬の「思い込みの強さ」によって後押しされているんですよね!

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12話について

 報瀬が吟に内地に行くことについて相談するシーンで、「結局、人なんて思い込みでしか行動できない」「そう。けど、ずっとそうしてきたんじゃないの、あなたは」っていう吟のセリフが、報瀬の「思い込みの強さ」に11話で助けられた、ってことを物語っていますよね!11話の伏線があることで、この吟のセリフが輝く、輝く。11話で報瀬の「思い込みの強さ」を感じた吟が12話でそれを還元している構図、良いですよねぇ。もうやばいな、美しすぎる。物語の美しさで泣いてしまうよ。

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 さらに12話はこれだけでは終わらなくて、報瀬が南極に来ても何も変われない、という問題に衝突する。これって報瀬の「思い込みの強さ」が要因であると言えると思います。もっと繊細な話ではあるのですが、大雑把に言ってしまえば、報瀬が思い込みで目的を決めていたから、変われると思い込んでいたから、何も変わらない事が怖くなっていると見れると思います。

 そしてこれを助けるのもキマリの「諦めなさ」なんですよね。吟を頼れない状況になったところで、報瀬を補うのはキマリなんだと思います。報瀬の「いいよ、見つかるわけないよ!」に対して「諦めちゃだめだよ!」というキマリは「諦めなさ」そのものだと思います。

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 ここでも「諦めなさ」が「思い込みの強さ」を助けるという2話の構図を再構築しているわけですよ。しかも「思い込みの強さから生まれた目的」が、1話で背中を押して助けたキマリの「諦めなさ」によって、12話で「思い込みの強さから生まれた目的」が危機的状態に陥っているときに助けられるっていう、激熱な展開を盛り込んでいるわけですよ!

 

まとめ

 あくまで自分の妄想に過ぎないんですが、めちゃくちゃ面白くないですか?人間関係や性格、人間の成長のストーリー力があり過ぎないですか?マジで恐ろしい。よりもい、ヤバイ。やば過ぎる。面白いアニメとかいう次元の作品ではなく、もっと上に存在している気がしますよね。

 

 

 よりもい1~13話の記事

 

taji488.hatenablog.com

 

 

 

 

よりもい12話の感想と考察と妄想

 

 

アニメ「宇宙よりも遠い場所」の12話に関するオタクの個人的な妄想、妄言です。

 

 

覚めない夢

 「それはまるで夢のようで。あれ、覚めない、覚めないぞって思っていて。それがいつまでも続いて。まだ、続いている」

 インタビューとか読まれた方はもう分かっていると思うんですが、ここでの「夢が続いている」ことを「ずっと昼が続く南極」のイメージに重ねているわけです。

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 11話の「準備しようか」の部分で話したカメラワークについて。ここでも使われていて、報瀬以外が話しているときに報瀬がゆっくりとしたトラックで映されていて、報瀬に話が振られるとカメラ位置がフィックスされる。このことからも、主体と状況って考え方が分かると思う。

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 このシーンで、キマリたちとしては報瀬の判断に身を委ねる思いでいると考える。それは、報瀬が南極に行くと言い出して、これまで反骨精神で他の3人を引っ張ってきたからで、それを期待している視線がこの5人の視線だと思う。それに対して報瀬は「いいんですか?」って返す。多分、報瀬の気持ち的には「自分が決めていいんですか?」だと思うのよ。いずれにしろ報瀬は迷っていて、この時点ですでに、以前の報瀬の猪突猛進さは失われていている。だから、5人の期待の視線が自分に集まっているっていうカットって、これまで一直線に進んできた報瀬が平然とやってきた「進む」って行為が、周りから期待されることに、気づくカットだと思うのよ。そしてそれに気づいたのは、現在の報瀬が「進む」ことを当然だと思っていないから。

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 内陸へ行くっていう命の危険を伴うような重大な話を、散髪しながらフランクに持ち出しているのって、意味があると思います。髪を切るという行為はベタな表現だから説明不要だと思うけど、13話で全部解決できた報瀬が髪を切っているように、吟はこの時点で気持ちの整理がついているって意味があるんですよ。つまり、12話で報瀬が意図せず伝えた「思いの強さ」によって、内陸に向かうことを決心しているわけです。だからその話を、このタイミングでしているわけですね。

 12話の問題提起のシーンをこれまでの伏線はもちろん、散髪、キャラクターの視線、でスマートに表現していくの、ほんとに美しいわ。

 

悩む報瀬

 放たれた気球がどんどん遠ざかっていき、3人で見上げているシーン。報瀬が遠くに感じられる状況を表していると思います。しかも向かっている場所は「そら」である。気球のイメージと重なって、報瀬の気持ちが「宇宙よりも遠い場所」に向いていて、3人から離れていくように感じているのではという懸念がキマリにはあると感じた。

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 一方、別の場所で気球を見上げていた報瀬はお母さんに宛てたメールを思い浮かべるんですよね。計測器を乗せてそらに向かう気球と「宇宙よりも遠い場所」に向けたメールが等しいと思うわけです。

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 相変わらず、風景による心情描写が冴えに冴えてる。

 

 

 心配に思ったキマリが報瀬に話しかけたいけど、うまく行かない。日向に「キマリがノープラン過ぎるから、ややこしくなるんだろ」って言われてるんですが、4話のテントの中で報瀬に対して伸ばしかけたキマリの手を、日向が引き戻したシーンを思い出しました。あの時も、報瀬の問題に対して過敏に反応するキマリを日向が抑止する関係性が描かれていて、それぞれの対応が一貫しているのが分かりますよね。性格を完全に保っているから不自然さが感じられない。

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 ではキマリが報瀬に対して心配しすぎてしまう理由を考えてみると、1話で報瀬の「あんなにみんなに言われて、馬鹿にされても、行くって本気で頑張れるのってすごいと思う」っていう敬意があると思うんだよ。キマリが報瀬を応援したいって気持ちから物語が始まったとも言えるし。だから、報瀬を応援したい気持ちから、報瀬に過干渉してしまうというか。11話で「ここにも来たって、報瀬ちゃん。良かったね!」って言ってるのも、この後「お母さんが待ってるって報瀬ちゃん言ってたよ」って言ってるのも同様の気持ち。

 

 

 「私ね、南極来たら泣くんじゃないかってずっと思ってた。これがお母さんが見た景色なんだ。この景色にお母さんは感動して、こんな素敵なところだから、お母さん来たいって思ったんだ、そんな風になるって。」「でも、実際はそんなこと全然無くて、何見ても写真と一緒だくらいで。」

 南極まで来たら泣けるんじゃないかっていう気持ちが、玉ねぎを剥いていく行為に表現されている。そして「泣く」という行為が報瀬にとって重要であるのは、報瀬が夢の中にいるようで感情が湧いてこないってことがポイントになっていて、「泣く」という感情表現が出た時点で母の死が現実であることを受け入れられたことになると思う。脚本的には報瀬が泣くことをゴールとします、ってゴールが見せているわけだけど。

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 この場面って、報瀬が南極に行く理由が分からないまま南極に着いてしまって、どうすればいいのか分からなくなっている状況だと思うんです。9話で書いたように、報瀬は「変えるには行くしかない」から南極に来たわけだけど、来ただけじゃ何も変わらなかった。原因はどうしても母親の死を実感できないから。じゃあ現時点でどうやったら原因を解決できるかって言うと、確実な方法は多分ない。9話で書いたけど、これが報瀬の南極に行く理由に相当するはずなんだよ。でも報瀬が南極に行く理由って、1話の「遺品を見つける」も2話の「お母さんが待ってる」も7話の「星を見る」もあったが、9話の「どう思っているかなんて全然分からない」で迷っていることが分かる。また、南極の景色を見ても泣くことができない、つまり目的とは言えない。以前の報瀬は、それをどこかで理解していたから、「無理だって言った全員に、ざまあみろって言ってやる」っていう後付けの目的を心に保っていた。その悔しさをバネにしてここまで来られたわけだから、マイナスな事ではないはずだけど。そして南極に着いた時の第一声が「ざまあみろ」だったように、後付けの目的に頼りきりで南極に到着した。けれど、報瀬が南極に着いた時点でその目的は叶ってしまった。そこから、南極に来た理由に向き合わなければいけなくなった。なので、報瀬の気持ちの変化があって、それをキマリたちは気にかけているんだよ。

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 「分かってる、何のためにここまで来たんだって。でも、そこに着いたらもう先はない。終わりなの。もし行って、何も変わらなかったら、私はきっと、一生今の気持ちのままなんだって」

 報瀬は現状を変えるために南極に来たのは分かっている、けど、お母さんが消息を絶った場所に着いてしまったらそれより先はない。「そこに着いたらもう先はない」って意味でも「宇宙よりも遠い場所」ってタイトルが活きてくる。だから報瀬は不安って気持ちだと思う。消しようがない不安。

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マシュマロの距離

 報瀬に対する距離感を表していますよね。弓子に「近づけすぎ」と言われているキマリに対して、日向は「何かをするのが思いやりではない、何もしないのも思いやりである」というスタンス。結局ちょうどいい位置でマシュマロを焼くことができる。7話も大人がカッコよく描かれてたけど、12話でも弓子の「お互いほっとけるっていうのは、いい友達の証拠だよ」や報瀬に対する吟が道を示す大人として描かれている。

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報瀬と吟の会話

 「私が来たかったから。貴子がそうして欲しいと思っていると、私が勝手に思い込んでいるから。」「結局、人なんて思い込みでしか行動できない」「けど、思い込みだけが現実の理不尽を突破し、不可能を可能にし、自分を前に進める。私はそう思っている」「人に委ねるなってことですか?」「そう。けど、ずっとそうしてきたんじゃないの?あなたは」

 11話ラストでの報瀬の「思い込みの強さ」を見て吟が動かされたと書いた。その思いの強さはこのシーンで吟から報瀬に還元される。そして今度は報瀬の背中を吟が押す。でもここのセリフから感じられるように、吟に「思い込みの強さ」が全くなかったわけではない。そうじゃなきゃ隊長として、南極まで来れてない。だから「けど、思い込みだけが現実の理不尽を突破し、不可能を可能にし、自分を前に進める」っていう部分は、吟が観測隊として再び南極に来るまでを想定して話していると思います。

 このように報瀬と吟は貴子を失ったという点で同じ境遇に立っていて、支え合える関係ですよね。こういう場面で、報瀬が7話で同じ気持ちの仲間ができたっていう話が効いてくると思う。あそこのシーンは重要だったと、物語が進むと分かる。

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 このシーンで酒が入ったグラスがやけに長く映っているし、報瀬の視線もそれに注がれているから、意図がある。ここに相当するセリフは「けど、思い込みだけが現実の理不尽を突破し、不可能を可能にし、自分を前に進める。私はそう思っている」なんだけど、この文では「私はそう思っている」ことから吟個人の経験に基づいたものであると考えられる。経験を積んだ大人だからこその考えであるから、酒のイメージが当てられたと思う。そしてこのシーンでは子供と大人の間にいる報瀬はよく分かっていなくて「人に委ねるなってことですか?」と尋ねる。

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 直前のシーンで吟に言われたことから、自分が南極に行けるって思い込んで、バイトをして自力で100万円を貯めた事を思い出すシーンに繋がるわけですね。

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報瀬の気持ちについて

 12話前半の報瀬の気持ちの変化と会話についてさらに書く。結局12話前半の報瀬の気持ちって内陸へ行くことへの「怖い」や「不安」なんですよ。それは「もし行って、何も変わらなかったら、私はきっと、一生今の気持ちのままなんだって」で表されている。しかも内陸に行くべきだという事は報瀬自身、理解している。「分かってる、何のためにここまで来たんだって」とキマリに返したように。その不安に対して吟は「思い込みの強さ」の話をして、「けど、ずっとそうしてきたんじゃないの?あなたは」という。そこで報瀬にとっての今までの「思いの強さ」は100万円で描かれる。南極に行けると思い込んで、バイトを続けたわけだから。さらにそこで回想される「分かってます!無理を言ってるのは分かってます!」「でも、どうしても行きたい。だってお母さんが待ってる」も同様に無謀だけど、行くって気持ちだけ強い。それを踏まえて、内地に行ったら変われると思い込むことで、最後の旅を始めることができたと思う。

 この不安に対してキマリは「でも報瀬ちゃんはお母さんが待ってるから来たんだよね。お母さんがここに来たから来ようと思ったんだよね」「それで何度もかなえさんたちにお願いして、バイトして、どうしても行きたいって頑張って」っていうように報瀬が吟と話した後の行動と同じ答えを既に出している。100万円を数えるのも、数えてるときの「分かってます!無理を言ってるのは分かってます!」「でも、どうしても行きたい。だってお母さんが待ってる」って回想もキマリの「それで何度もかなえさんたちにお願いして、バイトして、どうしても行きたいって頑張って」「お母さんが待ってるって報瀬ちゃん言ってたよ」っていうセリフに被っている、というかキマリのセリフが2話の報瀬を想定しているからだろうけど。でも、吟と話す前のこの時点では報瀬は決心できない。だから吟による「思い込みの強さ」の再確認が必要だったんだと言えます。でも逆に、キマリと吟のアドバイスの両方があったからこそ、この回想で報瀬が決断できたという解釈もあると思います。

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報瀬の中の、お母さんの大きさ

 もうちょっと同じ話を続けると。この12話前半って何となく報瀬の気持ちが分かりそうな話なんですが、よく考えるとちょっと分かりにくいという違和感が個人的にあって、それは報瀬の「一生今の気持ちのままかもしれない不安」と同時に「報瀬の中でのお母さんの大きさ」がテーマとして描かれているからだと考えました。「変われない不安」というのは今書いた通りなんですが、

 「報瀬の中でのお母さんの大きさ」について書いていくと、「私ね、南極来たら泣くんじゃないかってずっと思ってた。これがお母さんが見た景色なんだ。この景色にお母さんは感動して、こんな素敵なところだから、お母さん来たいって思ったんだ、そんな風になるって。」「でも、実際はそんなこと全然無くて、何見ても写真と一緒だくらいで」ってセリフに「お母さん」が多用されている事が分かる。お母さんが主体であって、それを報瀬が追って体験することで泣ける、と報瀬は考えていたわけですよ。恐らく、お母さんが南極で亡くなった理由をなんとか理解したい気持ちだと思います。

 でも、それでは泣けなかった。中学生のころから背表紙を眺めていて、その景観に期待していたから、過去と現在での落差があって、画面の色づかいの対比にも表れていますよね。ここで報瀬はお母さん主体で考えすぎて、その結果何も変わらない不安から、内地遠征を迷っていると捉えることができると思います。それに対してキマリは「でも報瀬ちゃんはお母さんが待ってるから来たんだよね。お母さんがここに来たから来ようと思ったんだよね」「それで何度もかなえさんたちにお願いして、バイトして、どうしても行きたいって頑張って」「お母さんが待ってるって報瀬ちゃん言ってたよ」っていう風にお母さん主体であることは変らないと思うんだよ。そしてそれは報瀬の不安の解決には至らない。貴子を追いかける旅であれば、最後の旅が終われば本当に終わってしまうから。そして吟に「どう思いますか?お母さん」って訊いている部分も、お母さん中心で考えているからだと思います。一方で吟のアドバイスは、貴子じゃなくて自分がどう考えて行動するか、であって、報瀬の主体性を促すものであると考えられる。そこがキマリに無くて吟が報瀬に伝えられたもの、であると考えています。

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 さらに言えば、10話で書いた沈まない太陽が貴子を示しているという部分を考えると、白夜になって貴子が常に報瀬の考えの中にいると考えられるので、「報瀬の中でのお母さんの大きさ」は大きい状態であると考えられるかもしれませんし。そう考えると、南極に来ても変われない報瀬が、暗い自室から窓の外の太陽を眺める画に関しては、一歩踏みだす前の象徴としての自室(1話でのキマリの部屋や3話での結月の部屋のように)にいる報瀬が、外にある太陽(貴子)を眺める。という心理描写に加えて、太陽の存在が自室に影を作るという点も、「報瀬の中でのお母さんの大きさ」が大きくなることで報瀬が悩んでしまっているという暗喩に受け取れなくもないかなぁ、と思いました。

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 ここからは妄言に近い話ではあるが、報瀬にまつわるキーアイテムとして、100万円と貴子の本について書いていく。日本編で、この2つは南極へ向かう力として描かれていたと思います。100万円は(2話でかなえに突き付けた結果、旅費としての役割はなくなるんですが)、報瀬が本気で行くという気持ちの表れであり、貴子の本は南極に行く目標であったと考えます(報瀬が景色に期待していたことから)。本にはそれに加えて、自分は小淵沢貴子の娘だから観測隊に参加できるという希望的観測もあったりすると思います。この2つは報瀬にとっての推進力であるんですが、100万円は報瀬が自分で得た推進力、貴子の本はお母さんが与えた推進力なんですよ。で、ここまでは貴子の本の方が活躍する場面が多かったと思います。キマリが南極に興味を持てたのも貴子の本のおかげであるし、報瀬が恐らく、常に持ち歩いていたであろう(1話でキマリに自分の本を見せている)この本は、7話でも読み直しているように、報瀬にとって重要なものであった。けれど、その推進力は12話冒頭で失われてしまっている。そして12話では、推進力であったはずの本と現実の違いの無さが、報瀬の不安の種になる。つまり、お母さんに与えられた本に報瀬が振り回されていると考えられる。そこから吟の話を聞くことで、自分が主体である100万円を数えるという行為をとる。南極では一切利用価値がないと思われていた100万円が役に立つ。このように、主体がお母さんから報瀬自身へと移る12話前半において、100万円と本がこの場面では重要なモチーフであると考えられるかもしれません。

 ただし、この考えだと、100万円数える場面で10秒以上かけて本を映している説明ができない。さらにこの後も報瀬は貴子の様子を空想したり、「お母さんも見てましたか?」「お母さんがいなくなったときも、こんな感じだったんですか?」と訊いたりしているから、報瀬が自己性を取り戻したくらいの意味なのかもしれない。

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最後の旅

 「ねぇ報瀬ちゃん。連れてきてくれてありがと。報瀬ちゃんのおかげで私、青春できた!」

 「連れてきてくれてありがと」は日向にも言われたが、キマリの最初の「青春する!」が達成された。

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 「Dear お母さん。友達ができました。ずっと一人でいいって思ってきた私に、友達ができました。ちょっぴり変で、ちょっぴり面倒で、ちょっぴりダメな人たちだけど、一緒に南極まで旅してくれる友達が。喧嘩したり、泣いたり、困ったりして、それでもお母さんがいたこの場所に、こんな遠くまで、一緒に旅してくれました。私はみんなと一緒だったから、ここまで来れました。」

 ここは感動した。泣いちゃう。これメールの文章なんですよね。こういう報瀬の気持ちを3年間メールで送り続けたわけで、それを自分で受け止めるという。

 

 

 ここのキマリの顔にズームするの必要か?って思ってしまう。

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 お母さんがノートpc忘れていて、それを見つけ出して、電源が入って、って部分は奇跡だから、特に何も思わないが、報瀬がこれまで送り続けたメールを自分で受け取る、っていう出来事はリアルさを損なわないように作られた「よりもい」に、奇跡を持ち込んででも、やるべき内容だったと思う。めちゃくちゃ良さ。

 自分が宇宙よりも遠い場所に送り続けていたメールを、自分で受け取ることで、お母さんがいない事を実感したわけですよね。これまで夜にならなかった南極に夜が訪れて、終わらない夢から覚める。

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13話に続く taji488.hatenablog.com

 

 

 

よりもい1話の感想と考察と妄想

 

 

アニメ「宇宙よりも遠い場所」の1~13話に関するオタクの個人的な妄想、妄言です。下書きがめちゃくちゃ長くて、削ったんですが、かなり長いです。

 

  自分がみたアニメの中で一番好きなアニメです。13話でこんなにインパクトがある、心を掴まれるアニメがあるのかと衝撃でした。良さを上げたら星の数ほどある、「よりもい」ですが、その中でも分かりやすい凄さとしては「笑いながら、泣けるアニメ」であることだと思ってます。「笑って、泣けるアニメ」なら数多くあると思いますが、「よりもい」は明るい気持ちで泣いてしまうと思うんです。そこが最高なんですよね。

 

 

  最初に自分の解釈の軸となる、「諦めなさ」と「思い込みの強さ」に関する別記事を読んでもらえると分かりやすいと思います。↓

 

taji488.hatenablog.com

 

 

鳥のモチーフ

 冒頭4羽の鳥は4人を示していて、それぞれが飛び立つことを示唆しています。鳥は自由への羽ばたき、旅立ちなどのイメージとして用いられることが多いですが、よりもいではそれらに加えて「そらよりも遠い場所」へ向かう物語であるので、鳥はモチーフとしてうってつけだと思います。

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 OPにおいて「ここからずっと遠い場所目指し、Let’s go!」で鳥が飛び立ってることからも鳥が4人の表現であることは言えますよね。

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 そして、1話のラストでは4羽のうち、2話が飛び立つ。

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日本編のテーマ 

「淀んだ水が溜まっている。それが一気に流れていくのが好きだった。決壊し、解放され、走り出す。淀みの中で蓄えた力が爆発して、すべてが動き出す」 

 これが日本編でのテーマだと言えます。そのあとにキマリが起こされる描写があるので、今の時点ではこのテーマは夢の段階でしかないと考えられます。また、淀んだ水の話だけであれば笹船を浮かばせる必要はないですが、その力によって進められる砕氷艦しらせのイメージであると捉えると笹船を描くことは必要だと思います。

 

自由の象徴としての飛行機

 このシーンでもう一つ注目すべきは、飛行機です。この場面のみだと「飛行機=日常からの解放、自由」という意味を持った描写だという断言は難しいと思います。

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 しかし、1話EDでは現実で飛行機が飛んでいる描写があり、「旅に出た自由さ」が表現されているわけなんですよね。

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キマリママが窓を開けるシーン

 カメラが窓を映してなくて、外の音が部屋に入ってくることで窓が開いたことを示すのがお洒落で好きです。そしてママが退けた後も、そのまま背景にピントが合う。そこから、不自然な長い同じシーンが続いて、キマリが勢いよく起き上がって登場。映像の撮り方に楽しさを感じます。

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自室の暗さ

 外の明るさと、部屋の中の暗さが対比されると思いました。よりもいでは「自室」を一歩踏み出す前の状態として表現することが多いが、キマリの場合も同じ。

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 「自室」は「旅」と真反対にあるイメージで、かつ日常であるといえます。だから、非日常へと一歩踏み出せた1話の最後には、汚い部屋が綺麗に片付けられるという演出があるわけですよね。さらには、ごちゃついていた部屋を片付ける=期待や不安などの複数の気持ちで悩んでいたキマリが気持ちの整理がついて、旅に出ることを決める、問ういう心理描写も含まれていると思います。

 

 キマリの幼さ

 高校に入ったらしたいことが何一つ実現できていないことに、号泣するキマリ。キマリママが困惑したように、視聴者側も困惑すると思います。子供っぽいというか、感情が外に出やすいというか、高校2年生にしては精神的な幼さが表れていると感じる。さらに言えば、主人公、変なやつだなと感じる。キマリの性格の伝え方が上手いと思います。

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 ちっちゃい電気つけたまま寝るキマリ。冒頭から、キマリの子供っぽさがしっかりと描かれていると思います。

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3つの目標について

 

 「高校に入ったらしたいこと…日記をつける。一度だけ学校をサボる。あてのない旅に出る。青春、する」

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 1つ目の「日記をつける」は、この後「何となくは良くない」「時間は限られている」ってセリフから、一日一日を大切にしようって考えで建てた目標ですよね。でも、高校入学の時に買ったであろうこの手帳の3ページ目以降が真っ白だし、恐らくキマリが日記を書いてない事は予想できます。しかし、この後のアニメ13話を通しても、キマリが日記をつける描写どころか、日記の話すら出てこない。じゃあキマリの「日記をつける」は何の意味もなく、終わっているのかというとそんなわけがないんですよね。事実、キマリは1話の後、日記をつけるようになったんですよ。そして、それが分かるのは、Blu-rayやDVDを買った視聴者だけなんですよね。

 こういう所も、よりもい好き~ってなっちゃう部分ですよね。よくある円盤の特典冊子で、内容もあらすじのまとめなんですが、それをこういう風にアニメの中で伏線を張っていく。いや~すごく良い。分かると、とても嬉しいです。

 

 2つ目の「一度だけ学校をサボる」について。「一度だけって言っているあたりが、キマリの気の小ささが表れているな~」って思いました。この後の展開で「あてのない旅に出る」ために学校をサボろうとするわけですが、「あてのない旅に出る」や「青春、する」を叶える為には、「一度だけ学校をサボる」必要はないですよね。キマリにとって「学校」が「あてのない旅に出る」「青春、する」の対極に存在するイメージであるから、その学校をサボることで何かを始めるキッカケになると思ってこの目標を立てたと予想できると思います。そう考えると、OPの歌詞である「教室でノート広げて、真っ白なページ見つめて、鉛筆で殴り書き、(変えたいな私を...)」でも、その時の映像においても、教室(学校)は変われない自分がいる場所のように描かれている事が分かると思います。まあ、こんな風に書かなくても学校の拘束感って、感覚的に分かりますよね。

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 3つ目の「あてのない旅に出る」について。この後の「とりあえず実行しようかと思って」というセリフから「青春、する」という目標に対するおおざっぱなスタートとして「(とりあえず)あてのない旅に出る」があると思う。手帳に書いた時のキマリにとっては、ぼんやりとここじゃない場所に行きたいという気持ちだったと思います。「あてのない」って部分は、キマリが「自由」に憧れていた気持ちが表れている言葉だと考えています。

 この物語を通して、「旅に出る」の部分は実現される。それが「あてのない旅」であったのかは解釈次第かと思います。普通に考えれば南極という目的地があるから、この言葉は当てはまらないと思います。けれど、12話において報瀬の「キマリは南極好き?」という質問の際に「みんなと一緒だったら、北極でも同じだったかも」って言っていることから、南極に行くことが目的ではなくて、みんなと一緒に旅したことが大切だったと言えるので「あてのない旅に出る」は達成されたとも言える。

 

 

 4つ目の「青春、する」は別ページに書かれていることからも、一番大きな目標であったと考えられます。何をしたら青春なのかは分からなけど、何もしないで過ぎていく日々が嫌だからこういう目標を立てたわけです。そして、12話で報瀬に「私、青春できた!」と言っているので叶えられています。

 「あてのない」もそうなんですが、目標としてはかなり抽象的です。それはなぜかというと、キマリの場合は旅をすること自体が目的であり、目的のために旅をしていないからです。そしてそこが報瀬との違いであり、その後、4話においてキマリに「旅の目的」が共有されるという風に物語が展開されていくわけですね。

 

 

キマリとめぐっちゃんの関係

 「わかるよ。キマリの考えそうなことくらい」「協力はしてあげるからさ」「じゃあなんでだ?」などのセリフは、初見で見た時には違和感に気づかないくらい絶妙に2人の関係を描いていると思う。そしてこのシーンで、キマリが靴ひもを結びながら話すことで、物理的にも心理的にも上下の差があるように描かれていると感じました。

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 この場面以外でも、1話ではキマリがしゃがんで喋る事が多いように感じました。それはめぐっちゃんに対してもそうだし、報瀬に対してもそうだと思います。それぞれの状況で、キマリは報瀬の事を大人びていると感じていたり、めぐっちゃんに自分の意見に同意して欲しかったり、と他人との関係の中でキマリの子供っぽさが出ているな、という印象が強まっていると思います。

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キマリのキャラクター性

 「友達から体操着借りてて...」「またぁ?」のセリフからも、キマリが周りに助けられている、誰かによく頼っているキャラクター性が積み上げられている。

 他にも1話においては、キマリが子供っぽくて平凡であるというキャラ付けがしっかりされているイメージがある。「中学の時もキマリ何もしなかったじゃん」、先生に怒られる、「ま、いんじゃないの」に対して「えぇーー!!」と叫ぶなど

 

学校=拘束というイメージ

 キマリの家の前ですれ違った自転車の生徒が報瀬なのでは?という話があったけど、これは学校と真逆の方向に行くことの表現な感じがします。改札で他の生徒とすれ違ったり、「学校と反対方向の電車に乗り」と語っているのと同じように、学校とあてのない旅の対照性を表現していると思います。

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 さらに言えば「トイレで着替え」をわざわざモノローグで強調したのも、学校の制服から私服に着替えたという対照性だと思います。キマリからの電話に対して、めぐっちゃんがわざわざ制服に着替えながら受け答えしているのも、そういう部分を比較して描く意図があると思います。

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 一方で、キマリがわざわざ着替えながら電話したのは上の理由に加えて、制服を脱ぐことが不安に直結しているから、という見方もできると考えます。めぐっちゃんの「電話かけてくるな」に「だってー」と誤魔化しているが、不安だから電話しているんだと思います。

 

 「いつもの学校から私一人だけが飛び出して」っていうモノローグ部分はかなり良くて、それは「いつもの」日常からの脱却でもあると同時に、「私一人だけが」他の人と違うことをしているっていう不安でもあると思う。キマリにとっては他の生徒との違いが嬉しさでもあり不安でもあるわけですよね。

 

 休む連絡入れたのに、学校に来たことをどう言い訳したんだろうという疑問があります。じゃあなぜ休みの連絡したのに学校に来てしまったかというと、キマリの中で不安が勝ったときに、それを癒してくれるのはいつも通りの日々であり、めぐっちゃんであり、みんなと同じでいられる学校であるはずだから。だからキマリは学校に戻らなくてはいけない、と個人的に考えています。

 

 

日常へ逆戻り

 ここで教室に戻ってきたキマリとめぐっちゃんが話すシーンが、1話OP後のシーンと全く一緒なんですよね。雨の日だから、少し薄暗い画面処理がされているけれど。省エネと言えば省エネなんですけど、非日常へ一歩踏み出したはずが、昨日と同じような今日に戻ってきてしまっているという事だと勝手に解釈しています。

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雨と靴と傘のモチーフ

 これについては別の記事に書きました。

 taji488.hatenablog.com

 

怖くなったキマリとめぐっちゃん

 「ほら、私いつもそうじゃん。部活入る時も、習い事する時も、受験でいい学校チャレンジしようって時も、全部直前まで来ると怖くなって」「やったことないこと始めて、うまく行かなかったらどうしようって。失敗したら嫌だなって。後悔するだろうなって。ぎりぎりになるといつも」

 めぐっちゃんが足を組んでいるのは偉そうな態度だと受け取れる。直前のシーンで、行かなかった理由をはぐらかすキマリと話しているときに頬杖をついているのも同様。キマリがいつもと同じように諦めたから、キマリを下に見る意識が強まっているからだと思います。

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 しかし、キマリが行かなかった理由が怖かったからという話を聞いて組んだ足を戻す。そして、「ま、それは悪いことじゃないとは思うけどな」と言うめぐっちゃん。組んだ足を戻したことから、キマリを対等に感じたであろうことが予想できます。つまり自分も何かを始めるのが怖くて、失敗するのを恐れている。そうなると「ま、それは悪いことじゃないとは思うけどな」というセリフは、キマリと同じような気持ちを持っている自分に対する自己肯定の言葉であると分かります。

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 しかしキマリは「でも私は嫌い。私のそうゆうところ、大嫌い」と言って、めぐっちゃんとしてはキマリに突き放された感があると思います。キマリが現状から抜け出したいのに対して、めぐっちゃんはこのままでいいと思っているという違いがあります。
 


 「でも私は嫌い。私のそうゆうところ、大嫌い」ってセリフと同時に映される「門限までには帰る」というライン。いつも通りの時間に帰宅するっていう、普段通りの日常から何も変われないないことを表している。

 このようなキマリの日常を変えるきっかけになるのが、100万円という非日常なアイテムなわけですよね。

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濡れたスニーカー、 乾いたスニーカー

 コンビニ前でキマリの乾いているスニーカーは、雨に濡れているスニーカーとの比較であることは画的にも確かだと思います。濡れた靴は一歩踏み出す不安として描かれていたものなので、現在のキマリの靴は乾いていて、みんなと同じ普通の生徒の側にいることが分かる。その立場から、報瀬が靴が濡れている側であるだろうと、考えていると感じました。だから、「あんなにみんなに言われて、馬鹿にされても、行くって本気で頑張れる」ことができる報瀬を尊敬している。だからその報瀬が友達も作らず、変人って呼ばれていることを知って、自分はそうは思えず、応援したいという気持ちだと思います。

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あと、この場面では、光と影の演出が印象的だと思いました。

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報瀬とキマリの公園でのやり取り

 

膝抱えて体育座りをしてキマリを体の正面に置こうとしている報瀬は、キマリをまだ敵認定してると感じられます。気を許せる相手にはこんな座り方はしないと思います。このような仕草が自然に出ちゃうほど、報瀬が周囲の人を敵として考えている事が分かると思います。

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 敵認定しているのは、教室のベランダの時点からで、本を持っているキマリに対してぶっきらぼうに手を差し出すんですよね。他人に対して報瀬が敵意を持っていて、この時点ではキマリも敵認定されていると感じられます。

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 このように最初は体育座りしてるんだけど、その後、キマリの話を聞いていくうちに、普通に座り直します。この仕草でキマリへの警戒心が緩んでいく事が分かると思います。

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 このように報瀬の気持ちが変化していくと思うんですが、それぞれの気持ちを報瀬の表情で上手く描き分けているのが、個人的な評価が高いです。セリフを多くせずにいかに画面で伝えるか、というのがアニメの見せどころの1つであると思うので、感情を表情で描き分けるというのはその意味で大切な事なんですが、これはどのキャラクターでもできることではないと思います。感情が表情に出やすい性格でなければ、不自然になるので、その点で報瀬のキャラクター性があってこその、表現であるとも思います。

 

 

「じゃあ、一緒に行く?」

 このシーンは1話の心臓のようなシーンだと思います。これまでは、キマリの日常の範囲を超えない出来事が物語として描かれていると思います。100万円は非日常的ですが、報瀬との出会いも、報瀬を応援することも自然な流れで、劇的な要素はないんですよ。しかし、報瀬の「じゃあ、一緒に行く?」の一言で、たったこの一言で、日常というドロドロした沼に肩まで浸かっていたキマリを、一気に大空に引っ張り上げてしまう。日常から非日常への転換がとても上手に描かれていると思います。

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 個人的な感覚ですが、上のような転換によってインパクトを与える際には、南極という非日常に対して、いかに非日常性を感じさせるかが重要なのではないかと考えています。なので、1話後半において、めぐっちゃんが「行けないよ。南極だよ?」と言っていたり、南極を本の中の世界として描いているシーンには、南極に現実味を帯びさせないようにする役割があり、そのおかげでこのシーンが引き立っているのではないかと考えたりしています。

 

 そして、ここのキマリの表情の画が最高過ぎると思います。ハルカトオクのタイミングも良いし、ピントがズレる演出もすごく良いですよね~

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 それら加えて注目してもらいたいのが、カメラアングルです。アニメだけでなく実写でもそうなのですが、2人が向き合う状態の会話を横から撮影するときには、基本的に「カメラの位置は逆サイドには回り込まない」というお約束のようなものがあります。理由は複数ありますが、アニメにおいては、位置関係が分かりやすいからであると思います。そうなると必然的に、顔のアップをした際にどちらかのキャラクターは画面の左側寄りに映ることが多く、もう一方のキャラクターは画面の右寄りにいることが多くなります。

 このシーンで説明すると、カメラは常に駐輪場側にあり、モブ達が画面左寄りに映っていて、報瀬は画面右寄りに映されている事が分かります。

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 その後、報瀬がモブ達の方に行き、キマリが元々報瀬のいた位置に来ると、報瀬が画面左寄りに映っていて、キマリは画面右寄りに映るようになります。

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 さて、公園のシーンに戻ると、このシーンは1話における重要なシーンであるので、顔が中央に寄ることが多いですが、それでも上のような原則にのっとったカメラワークだと分かります。このシーンではキマリが左に寄っていて、報瀬が右に寄っているような、カメラの位置ですね。

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 しかし、この画だけ完全にキマリが右側にいるんですよ。これによって、報瀬のセリフとキマリの表情が強烈な印象を持つように工夫されています。それに加えて、「日常から非日常」というこの場面のテーマそのものを体現しているようなカメラ演出であり、個人的に、このシーンはかなり大好きなシーンになっています。

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 実はこのシーンの前にも若干逆に寄っている画があって。報瀬の「そっちの方がずっといい」っていう際に、報瀬の横顔がキマリから見えていると思います。この報瀬の横顔も少し左に寄っています。それで「何か手伝えることない?あったら言って!」ってキマリが言う。報瀬が1人であることをキマリは感じたから、味方になろうと思ったと感じられます。そしてこのシーンも回想として、キマリが踏み出すことを決めた要因になっているように、重要なシーンです。

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 さらに、その後の「怖くなったとか」の画も同様に、報瀬が左に寄っていて、強い印象になっていると思います。キマリにとっても強く印象に残っているわけで、だから回想として思い出す画であると言えます。

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この日って何曜日?

 1話の時系列の整理をしておくと、キマリママに「もう昼ですよー」と起こされていることから、この日は土曜か日曜日です。最近は土曜でも授業がある高校はあるが、キマリの時間割をみると土日は休みだと思います。そして次の月曜日に、意気揚々とめぐっちゃんに計画を話す。実行しようとしたのが火曜日で、その夜に100万円を拾う。それが報瀬のものだと分かって、報瀬から最初に話を聞くのが水曜日。水曜日の帰り道でめぐっちゃんとコンビニ前で話す。次のシーンは木曜日の放課後で、めぐっちゃんの誘いを断って、図書館に行き、「一緒に行く?」の場面に繋がる。4日間の出来事は繋がりがあるので、恐らく間に空白の1日が入っていたりはしないと思います。唯一、水曜日から木曜日の連続性は薄いですが、コンビニ前でのキマリの靴のカットが報瀬に近づこうと思う気持ちになっているわけなので、恐らく最短で行動していると思います。

 「じゃあ、一緒に行く?」以降のキマリと報瀬の会話はキマリの回想という形になる。この公園のシーンの途中からの部分と、キマリが自室で不安と葛藤するシーンを同時に描いているのが面白いアイディアだと思いました。この2つのシーンはこのような時系列の話から、木曜日の夕方の公園と、金曜日の夜の家であると考えられます。

 

 ここの場面転換の話なんですけど、話の内容は同じ(公園にいる)ままで、キマリのいる場所だけが変わるわけで、この急な変化に視聴者がついていけるのはキマリの部屋の電気が点くカットが存在しているからなんですよ。

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このカットを入れることで、キマリの自室に移動した事が簡潔に明確に伝えられる。実は全く同じ構図のキマリの家の画を1話の最初に入れてあるんですよね。こういう部分がすごく丁寧だと思いますし、好感が持てますよね。

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 シーンチェンジの話を付け加えると、公園で報瀬がチラシを差し出した時に、キマリのおでこが入らないくらいアップに寄って、キマリの視線の動きに注目させておいて、視線を落としたら、チラシごと家にいる現在に戻ってくる、っていうのも面白いぁと感じました。

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しらせの下見は、一石二鳥

 報瀬がバックを肩にかける仕草によって、キマリは今回も失敗してしまうと思って、「違うよ、そんな風に」と慌てて引き留めようとするキマリ。そして報瀬に突き付けられる課題が、旅に出ること。このアイディアは強いと思います。これによって、旅に出れなかった失敗、報瀬に誤解されてしまった失敗の2つを同時に解決するという。

 こういう場合、強いアイディアを押し付けたキャラクターに後々、軋みが生じてしまいがちなのですが、砕氷艦しらせの下見という旅の目的、これまで同じような人がいてすぐいなくなったという不信感がそれぞれ適当な理由としてあるので、報瀬というキャラクターに無理がかかっていないと思います。キマリを試していることに関しては、12話で「友達ができました。ずっと1人でいいって思っていた私に、友達ができました」とあるように、報瀬の変化を表現するための、伏線としての役割もあると思います。

 

報瀬の横顔

 これまで2回出てきている報瀬の横顔っていうのはキマリとの距離があるように描かれていると思います。「みんなそう言う」や「そっちの方がずっといい」というセリフからもそういう雰囲気がある。

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横顔が見えるっていう事は、報瀬が見ている方向は自分では無いってこと。そして1話の最後に出てくる報瀬の横顔は、砕氷艦しらせを見ていたことが分かる。恐らく学校のベランダや放課後の公園のシーンでも報瀬の横顔が向く先は南極だったと想像できます。そして、これまで横を向いていた報瀬が、1話の最後でやっとキマリの方を向く。この最後のシーンで横顔を映しているのには、意味があると思います。というか思いたいという個人的な希望ですね。

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報瀬への感想

「前にも何人かそうゆう事言ってくれた人がいた。みんなすぐにいなくなるの。やっぱり無理だとか。友達に止められたとか。怖くなったとか」

 このセリフ、あんな笑顔で誘ってても半分諦めてるのが分かる。だけど、キマリが決心できたのはこの笑顔があってのことだし、希望もあると思うんだよ。いやー、一緒の目標を持ってくれる友達が欲しくないわけじゃないんだよ。報瀬は。それだったらわざわざ誘わないわけだし、ただ、あまりにも大きな夢に、あまりにも真剣に報瀬が向き合っているから、その熱量を誰にも受け止められないと思う。このひたむきさとか、負けず嫌いさはなぁ、長所なんだけどなぁ。

 

「それが普通だと思う。だって高校生なんだし。学校行ってるんだし。友達もいるんだし」

 だからこそ、「違うよ、私はそんな簡単な気持ちで言ったわけじゃなくて」を遮って紙を渡した。試してる顔で。これも正面のアングルで報瀬の感情が顔に出ているのが強く分かるよな~

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 ただ報瀬もこれは無茶ぶりだと思う。応援してくれる=一緒に行ってくれるではないわけだし。報瀬もそれは重々承知で中途半端な友達とか理解者はいらない、的な考えが存在しているのかなと思う。どうしても自分の使命のために他人から否定されがち、良く思われない経験をしてきた報瀬が他人へ諦めがあるように思えて、悲しい...

 

終盤を盛り上げる演出

 水道から垂れる水滴が、雨に濡れる靴を連想させるシーン。踏み出す不安を思い出してしまう。

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 キマリが1人で走っているシーンと2人で走っているシーンの対比。

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キマリの「諦めなさ」

  報瀬とキマリが初めてベランダで話した時は、キマリが他の生徒と同じように感じられたため、報瀬は貴子の本を返してもらう。報瀬から見た第一印象としてはあまり良くないと思うんだけど、キマリは図書館で同じ本を借りて、再び報瀬に会いに行く。この「諦めなさ」が1話において、キマリが一歩進めた、重要なファクターだと考えています。

 これに関しては全編を通したテーマなので、各話で言及したいと思っています。

 

 

1話のまとめ

 あまりに美しいアニメであるね。1話は時間が掛けられることもあってか、完成度が高すぎる。2018年でもアニメはまだこんなに面白いのか!と感動を与えてくれる1話でした。あと、2人で旅するEDが良過ぎて泣いちゃう。

 

2話へ続く 

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よりもい2話の感想と考察と妄想

 

 

アニメ「宇宙よりも遠い場所」の2話に関するオタクの個人的な妄想、妄言です。

 

 

・2話冒頭の報瀬が南極について説明するときはかなり綺麗感があると思う。日常パー  トではない。音楽もそうだし、クリームソーダの光の輝き具合、報瀬とキマリの横顔のアップ、さらに二人の表情に寄って行く映像、などから壮大な計画が始まったことの明るさとか希望に満ちてる感じとかが伝わると思います。やっぱり1話ではキマリが何かを始められなくてモヤっとしていた所がメインだったのでそことの比較、始まった感を1話終わりと2話冒頭でこうゆう風に出していると思います。

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・「ほら!報瀬ちゃん、観測隊員の娘だし!」と希望的な楽観をして、シャーペンの芯を長く出すキマリに対して、「コンサートの関係者席じゃないんだから」と冷静に芯を戻すめぐっちゃん。ここでのめぐっちゃんの役割は大切で、2話冒頭であれだけ良い感じで描かれていた報瀬の計画は実は難しそうっていうツッコミは必要ですよね。

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報瀬のいい表情

 めぐっちゃんからのラインを見て、一瞬で顔が変わる報瀬。この3枚の表情はそれぞれ、「気付き」「友達の友達へ対する敵対心」「離れていくのではという心配」だと感じられます。

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 「前にも何人かそうゆう事言ってくれた人がいた。みんなすぐにいなくなるの。やっぱり無理だとか。友達に止められたとか。怖くなったとか。」

 1話のセリフの「怖くなった」はキマリが1話で乗り越えたわけだけど、「友達に止められた」の可能性はまだ残っていて、それを報瀬は心配してるんじゃないかなと、そういう心配の表情だと思った。また自分から離れていくのかと。

 

信号の演出

 信号の演出が面白いなーと思いました。青点滅してた信号が赤になる時に報瀬が渡って、ここでキマリが自分の気持ちを伝えていなかったら、そのままであれば次に青になるのは反対の信号で、キマリと報瀬は会えないで終わってしまう。でも実際は、報瀬が視界から消えた後も自分の気持ちを叫ぶことで、次に青になった信号は報瀬の方の信号であって、和解したという描写。

 これは12話で詳しく書きますが、報瀬の「思い込みの強さ」をキマリの「諦めなさ」がカバーしている描写だと解釈できるんですよ。個人的に勝手に解釈しているだけですが、1話でのキマリの足りない部分を報瀬の「思い込みの強さ」が補っていた流れからの、2話でその逆の補いを、信号での別れという考えられた演出を用いながら見せることで相互的な関係であることを示すの、鮮やかすぎませんか?すごく好きなシーンですね。

 

バイトを始めたキマリ

 キマリがバイトを始めるという話の流れは、主に日向との出会いのためだと考えられるけど、それだけではなくて、報瀬がバイトをすることで南極に近づいて行ったように、南極へ行くための努力としての意味もあると思う。

 

 さらに言えば、1話では神社のシーンで門限という日常に嫌悪感を持っているキマリが描かれていたのに対して、バイトを始めた2話ではバイト終わり(3話の時と同じであれば10時頃だと推察できる)だと考えられるキマリと日向が夜遅くに報瀬と神社に集って、「人生で一番途方もなくて、とんでもない大きな計画を立てている」という特別感やワクワク感が描写されている気がしています。これもバイトを始めたことを巧みに利用しているかな、と考えています。まぁ、バイト終わりでない可能性も大いにありますが...

 

神社のシーン

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 日向の「中にはいるんだよ、高校いってない16歳だって」に対して自分だったら、「何か普通じゃない事情があるんだろうな」と思って気を使ってしまうと思うんだけど、この2人は気を使うどころか、尊敬と言うか憧れの表情だと思います。それは平凡が嫌いなキマリにとって、多くの人が向かう「学校」は居心地は良いけど、キマリが学校に対して自分が抜け出すべきところ、変えたい日常だと捉えているから。

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 一方、報瀬にとっては「それが普通だと思う。だって高校生なんだし。学校行ってるんだし。友達もいるんだし」と言ってるように、南極に行くという自分の考えに、学校の拘束は邪魔なものであると考えてると言えると思う。学校では変人扱いされてるわけだし、いいイメージは持っていないと思う。報瀬の嫌いなものに「集団行動」とあるので、学校が嫌だと考えられると思います。

 だから今の2人にとっては、普通の人が見たら珍しい人or何か事情がある人である、日向が憧れの存在に見えているんだと思います。だからこそ、報瀬はいつものような敵認定をすぐに解除して、馴染めた。どこかで仲間であると、自分と似ていると思ったことは確かだと思うんだよね。

 

 

 で、まだこの表情の話し続けるんだけど、この2人の表情を日向が見てたらはっきりと、この2人が他の人とは違うことが分かると思うんだよ。しかしここでは、日向は不自然に賽銭箱にお金を入れて参拝してる。これはやっぱり、高校に行ってないことを気にしていて、勉強面は勉強をちゃんとやっていて高卒認定もとってるから全然気にしていないけど、周りからの目を気にしていると思う。だからこそ、二人に正面を向けられないんだと思う。しかし、これは杞憂で実際には2人は変な目で見ることはなかった。

 

 

 賽銭箱の階段を上るカットは、は日向がご機嫌で「これは運命だって思ったね~私は!」って言うように、気持ちの高ぶりの表現できていて、凝っているな~と思った。

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 日向の立ち位置に関してさらに言うと、2人にとって日向は、学校から自由である点で尊敬や憧れの存在であったから、階段の登った場所、キマリと報瀬が見上げる位置に意図的に立たせたのではないかな、と考えています。

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 そう考えると、日向が階段を下りてキマリたちと同じ高さの立ち位置になるのをキマリと報瀬の目線の変化によって印象的に描いた後に、日向の「一個くらい何かしときたいなって」っていうセリフに対して、キマリが共感、親近感を覚えるという流れも、立ち位置の高さと印象の表現だと考えると筋は通っていると思います。

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キマリと日向の別れ際のシーン

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 ここのキマリと日向のシーンって日向がなんで二人が気になってたかを示すためのシーンだと思っている。別パターンとして、ちょっとした会話の後に日向に思いを語らせた後に新宿のシーン、でもいいと思うし、普通そう考えると思うんだよ。しかし、よりもいではめぐっちゃんのラインからキマリの作戦への不安を表して、日向のバイトしてるからお金はある裏付けを挟んで、キマリに冗談を返す日向の明るさを描いてから、日向の心境、それを聞いて「まぁ、やるだけやってみるよ」と返信するキマリ、ってゆう風にキャラクターの特徴づけとか、2話後半への伏線とか、5話への伏線とか、テーマである、友達となら乗り越えられる、ってことを入れてるのがやっぱり鮮やかだと思いますね。よりもい。

 

新宿のシーン

 日向と報瀬がバッグを持っているのに対して、キマリは手ぶら?な部分も、キマリの子供っぽさが出ているかなーと思ってます。

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 こうゆう夜の明るい場所だと光が当たる方向が分かって顕著だけど、焦点を当ててるキャラの顔に影って付けてなくて、表情が分かるようにしている。だから表情に影がある時って何らかの意図を持って、影をつけてると考えられます。 報瀬がかなえと弓子に見つかるシーンなんだけど、この二人に影があるのは報瀬から見た恐怖感、逃げなきゃっていう気持ちが出てるんだと思うんです。だから、弓子の表情の描かれ方が見下ろす、高圧的なイメージであると思うし、実際から離れた誇張表現みたいなものだと思いました。

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 あとこれは、何を考えてこうしたのか分からないんですけど、数コマだけ報瀬のへそチラが描かれています。

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 報瀬が脱げた靴を取りに戻ろうとしたところを、合流したキマリが拾うカット、今は何も気にせず、振り返らずに、進もう!っていう気持ちが感じれてとても良い。普通なら走らせるだけでも青春感があふれるシーンで十分だと思うんだけど、報瀬がパンプスを履いている、報瀬の残念なところが出そう、と考えたんだと思うんですよ、それをさっきまでいなかったキマリが合流して拾うことで、さらにキャラクターの味や、彼女らの気持ち、テーマを出してくるんだと思うんですよ。やばい。

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 新宿を走るシーンは青春の縮図?

 あまりにもキラキラしていて眩しいシーンですよね。なんかこっちまで心がドキドキするというかソワソワするというか。走る事の青春性は広く共有されている表現だと思うんですけど、その他の要素も存在してると思います。

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 夜の新宿という非日常であることだったり。知らない道で行き止まりかも分からないけど、未知のことに何も恐れずに進んでいくことだったり。合流場所もろくに決めず分かれたように、後先考えずに夢中で何かをすることだったり。一見大変に思える階段を、元気出して駆け上がっていったり。友達と離れてけどまた仲直り(合流)することだったり。少し背伸びして大人に(お酒に)近づいてみたり。もう前に歩けない(靴が脱げたから)、進めない、と思ったところを、友達に助けられたり。多分そうゆうのが青春で、そうゆう要素がこの新宿全力疾走には、隠されている、詰め込まれている、と勝手に思って、勝手に感動してるんですよね。自分は。

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 だからこそ、この新宿全力疾走はこれからの彼女らの青春の物語の縮図と捉えられると思っていて、それに最後まで付き合ってくれる、一緒にいてくれる大人というのがまたすっごく良くできているな、と感じるわけです。普通、大人になって高校生の追いかけっこに付き合ってくれないと思うんですよ。しかし、彼女らがこれから出会って、ともに過ごす南極観測隊員の人たちなら、一緒に走ってくれるって思える。自然なことだ、という風に13話までみた自分は思えるわけですよ。これは南極観測隊員の人たちがどこか子供のような熱量というか、それこそ青春の真っただ中にいるような真剣さだからだと思うんですよ。だから「ほんとに、大人が、かっこいいなぁぁぁ!!」って思うのが7話での自分の感想です。そして、初見の時は7話を見た後に、「この人たちなら、絶対、キマリたちと夜の新宿を走ってくれる」と、この2話に対して勝手に納得感を感じていました。

 

 また、先に述べた表情に落ちる影の話で行くと、新宿全力疾走のシーンで小路地に入り込むシーンがあって、ここって、これまで明るく照らされていた二人の表情が色的に暗くなるので、やっぱり旅で進んでるの途中のうまく行かない時期や迷ってる時を連想させると思うんですよ。これはサビで暗い路地から抜け出して一気に画面が明るくなることからも妥当なイメージだと思う。そしてさっきの青春の要素が走ってる途中に表されているという話だけど、そうゆうところにある障害物を突破したり、互いにぶつかって(ここでは物理的に)傷つけあったりしてるのも青春を表現してると、思うんですよ。

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大人と子供

 このシーン、オレンジジュースとコーヒーってのが、3人がまだ大人じゃないって言ってて分かりやすいですね。あと、キマリだけ飲み干してるし。

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 3年前の回想、弓子「まぁ、気持ちは分かるけどね」かなえ「あれから3年」

  報瀬への南極への思いが本気であることは確かだが、それと同時に観測隊員の南極への思いが少し明らかになって、貴子を失ったのは報瀬だけではないことを示す最初のシーン。報瀬の頼みは断るしかないけど、大人組も気持ちとしては報瀬と同じはず。ここで3人が帰った後にーヒーに追加で水をもらっていて、さっき述べたようにここでの飲み物は大人と子供の違いを強調していていることから、子供から見ると大人であるかなえと弓子も、3人が帰った後に飲んでいるのはただの水ってところが面白い。彼女らも過去は過去だと、割り切って生きてるような大人ではない、ことがここからも読み取れると思いました。

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3話へ続く 

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